2010 FIFA World Cup South Africa:勝手にBest11

Iker Casillas(Spain#1)
 チームがリスクを冒して戦うことで数少ないピンチは決定機ばかりだったが、それをことごとくストップ。白眉は2度にわたってロッベンとの1対1を制したファイナルか。守備的な相手ばかりで得点を期待しづらいゲームが続いた中、このうち1本でも入れられていればスペインの優勝はなかったはずだ。


Jorge Fucile(Uruguay#4)
 普通のサイドバックとしても十分な仕事をしたが、それ以上に自分のサイドに相手選手がいるにもかかわらず捨てて、危険な中央のカバーに行く判断のスピードが素晴らしく、再三にわたり相手のチャンスを無に帰させた。
Gerard Pique(Spain#3)
 マークが厳しくスペースを与えてもらえないことが多かった中盤のフォローを常に意識し、鋭いクサビや正確なサイドチェンジを何度となく打ち込んでビルドアップを大いに助けた。読みと高さでフィニッシュに持ち込ませなかったディフェンスについては言うまでもない。
Lucio(Brazil#3)
 跳ね返すのみならず確実につなぎ、状況によってはドリブル突破すら辞さない。リードされているのにチーム全体が規律に縛られているように見えた中で唯一闘争心を前面に押し出して奪いにいき、周囲を鼓舞し続けたメンタリティーも特筆に価する。
長友佑都(Japan#5)
 速さと粘り強さで対面の名だたる選手たちを無力化し、絞ってのプレーも問題ない。機会こそ少なかったが上がればほとんどクロスかフィニッシュで終わらせるだけの技術や判断力を持ち合わせており、量だけの選手ではないと証明した。今大会の「発見」の一人と言っていいだろう。


Egidio Arevalo(Uruguay#17)
 前から奪いに行きながら中盤やバイタルエリアを幅広くカバーし、最終ラインが抜かれればその後ろに姿を現す。相棒のペレスともども、タフに戦い抜いた今大会のウルグアイを象徴する存在だった。あれだけハードにプレーしながらファウルをほとんど取られない技術は模範とすべきだ。
Bastian Schweinsteiger(Germany#7)
 激しい当たりに奪ってからの展開力。ケディラを前に出して自分はフォローに徹しながら、必要とあれば突破力や得意のミドルを繰り出せる戦術眼。仲間の腰が引けているようにも見えたスペイン戦で、ただ一人それまで以上に戦い、走り続けたメンタル。ドイツは新時代のリーダーを手に入れたようだ。
Xavi(Spain#8)
 味方の動きが少なく出しどころに困る場面が多かったが、それでも別格の存在感を放ち、チームにリズムを与えた。受けて、さばいて、スペースに動いて受けて、という作業を間断なく行いながらほとんどミスを犯さなかったのは驚くべきことだ。激しい当たりにさらされてもボールを失わない体の使い方やテクニックはもはや芸術の域。ある意味「堅守」に最も貢献した選手かもしれない。
Wesley Sneijder(Netherlands#10)
 ボールに触れば何かを起こした。守備を最優先する戦術の中でその機会が多かったわけではないが、気がつけば人と人の間やスペースに入り込んで決定的なスルーパスを繰り出し、ゴールネットを揺らす。時間をコントロールしながら人を動かせる唯一の存在で、彼なくしてオランダの戦い方は成立しなかっただろう。
Thomas Mueller(Germany#13)
 サイドから斜めにライン裏に抜ける動きを繰り返して相手を混乱に陥れ、エジルやクローゼとの頻繁なポジションチェンジで中央に入り込んでは受け手の動きを殺さない強さやタイミングのパスで基点として働く。チャンピオンズ・リーグであれほど入らなかった決定的なシュートを面白いように決めるなど、精神面の成長も示した。


Diego Forlan(Uruguay#10)
 ウルグアイの攻撃の全てを司った。中盤に降りてきてのゲームメークにバイタルエリアのホールで巧みに受けての展開やラストパス。左右で差のないミドルシュートの破壊力には触れるまでもあるまい。被ファウルが2というのは、いかに的確なポジションを取って速い判断でプレーしていたかの証明だ。プレースキッカーとしても合わせてよし、狙ってよしで、能力を存分に見せつけた。

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2010 FIFA World Cup South Africa:Final(7/11)

Spain 1-0 Netherlands
 オランダはこれまでにも増してゲームを壊すことに専念した。半分以上の時間は中盤のスペースを消してスペインのビルドアップを阻害し、それ以外に何もしようとしなかった。また、ここで暴力的な行為も辞さず大量のカードを受け、結果的に自らの首を絞めることになった。運動量が落ちてプレスがかけられなくなってからは下がる一方でロッベンに蹴るばかりとなり、むしろその方が脅威となったのは皮肉だとしか言いようがない。ただ、リスクを恐れ、プレーしようとしないのだけは終始一貫していた。大会を通してコンビネーションの意識が希薄で、攻撃は「スネイデルが危険」「ロッベンが凄い」というレベルにとどまった。今大会に数多現れた、リスク管理ばかりを考えてビルドアップを放棄し、前線に任せるばかりのチームの代表として最後に罰された、ということかもしれない。
 スペインは回してリズムをつくれなくても、相手のプレスが機能している時間帯は焦らずキープしながら穴を探り、徐々に高い位置でプレーして相手を自陣に釘付けにする。守備も何回か個人に振り切られる場面があったが概ね数的優位をつくって対応できており、最後はカシージャスが立ちはだかった。ヘスス・ナバスでサイドから仕掛けて相手の守備の幅を広げ、中央にも勝負できるセスクを投入してディフェンスを混乱に陥れたベンチワークも極めて合理的なもので、時間はかかったが点が入ったのは必然だった。
 7試合とも素晴らしい内容だったわけではなく、クオリティーは2年前の方が高かったかもしれない。それでも相手という相手がことごとく彼らのプレーを破壊しにきた中で、それに付き合おうとせず自分たちの連動性、創造性を貫いて優勝したことの価値は計り知れない。フットボールが勝利した、と言っていいだろう。

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2010 FIFA World Cup South Africa:Match for 3rd place(7/10)

Germany 3-2 Uruguay
 ドイツの素早いサポートとパス回しに対抗する、ウルグアイの激しくも質の高い、待つのではなく奪いにいく守備。ともに壊すことより自分たちの長所を発揮しようとする姿勢を強く押し出し、ゴールに向かい続けたのでフットボールの良さ、美しさが際立つ内容になった。多少緩い場面もあったが、全般にタイトさは保たれていたし、その中でいいプレーを見せたことで両チームともここにいる理由を示した。偶然や運の要素がほとんどないゲームで、選手も観客も納得し、満足したのではないだろうか。

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2010 FIFA World Cup South Africa:Semi-finals(7/7)

Spain 1-0 Germany
 スペインは、ドイツにフットボールをさせなかった。ボールを回し続け、前に進むことすら許さない。もっとも、完全に支配したが故にブロックを固められ、2列目からの飛び出しなどの工夫もなかったので無理な突破や逃げた末のサイドばかりになり、勝ち目のないクロスを入れてはメルテザッカーにはね返され続ける。しかもパスミスや状況に合わないプレーを繰り返し、決定機自体は多くなかった。守備でもホールに入り込んでプレーするエジルを捕まえきれず、クローゼを離すこともありポゼッションの割に危険な場面をつくられたが、終盤のパワープレーに対しては素晴らしい集中力を発揮した。オランダは守ろうとしてくるだろうが、攻守にわたる組織力においてドイツに比べればはるかに与しやすいはずだ。このゲームで得た教訓を生かさなくてはならない。
 ドイツは相手の素早いネガティヴ・トランジションに苦しみ、ボールを奪うことすらままならないうちに大半の選手が前に出ていく意欲すら失い、2、3枚しか攻めにかけられなかった。それでもスペインとそう変わらない数のチャンスをつくって質の高さは示したが、足りないものは足りない。ミュラーの不在を嘆くことになった。ただ、2年前とスコアこそ同じだがクオリティーはまったく違う。もちろん、彼らが大幅に向上したからだ。カウンターのみならず遅攻でも相手を脅かせるようになっているし、誰もがハードワークする。今大会でも間違いなくベストチームだった。しかも、若い選手が多く相当な伸びしろをまだ残している。4年後が楽しみだ。

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2010 FIFA World Cup South Africa:Semi-finals(7/6)

Netherlands 3-2 Uruguay
 前半はともにこれまで通りリスクを冒さず戦い、後半にオランダがファンデルファールトを入れて出てきたが、ウルグアイもスペースを与えず、厳しい当たり、アレバロを中心とした素早いカバーに陰りはなく、むしろ相手の中盤にスペースができ、カウンターを浴びせる機会は増えていた。そこで枚数が足りず、リスクを冒しきれなかったことで彼らの勝機は遠のいた。結局、不運な失点を喫し、気持ちが切れたようにもう1点。そこからの20分、彼らは攻めるでも守るでもなく時間を空費しただけだった。ベンチも動こうとせず、選手交代が明らかに遅い。最後の2、3分だけ攻めにいったが、2点を返すには不十分だった。ノーチャンス、というほどの差はなかっただけにもったいなかった。
 オランダはまたしても幸運に恵まれた。流れを引き寄せるまではできても、相手をねじ伏せてまではいない。手持ちの人材を考えればそれをできる場面がもっとあってもいいはずだが、今大会は皆無だ。うまく隙を突いている、とも言えるが、いくらなんでも次の相手は簡単に隙を見せてはくれまい。真の実力が試されるはずだ。

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2010 FIFA World Cup South Africa:Quarter-finals(7/3)

Germany 4-0 Argentina
 早々に先制して無理をする必要がなくなったドイツは、プレスは控えめにして、昔の武士のように単独で突っ込んでくる相手アタッカーを待ち構えてあっという間に囲み、素早いフォローでこぼれ球を拾う。攻めてもケディラやラームといった後方の選手もマイボールになるや即座にパスコースをつくり、ほとんどワンタッチで回しながら相手を脅かし続けた。悪い内容ではなかったが、ゲームをコントロールしていたとまでは言えない。ネガティヴ・トランジションこそ速かったが、そこを交わされると最終ラインとの間にはスペースがあり、ブラジルやアメリカのような組織的なカウンターを仕掛けてくる相手であれば、こんなに楽には戦えなかったはずだ。事実、アルゼンチンが押し上げてきた後半はセカンドボールを拾えず、押し込まれる時間帯が続いた。それでも、これまでのアルゼンチンの相手のように「個」に対して組織で向かっていっても易々と破られるほど彼らの個人能力も低くはない。結局、一線を越えさせることはなかった。スペインはここまで簡単に攻めさせても、守らせてもくれないだろう。ライン間やサイドバックの裏のスペースにもっと注意を払ってプレーする必要がある。
 アルゼンチンは最後まで個々人が勝手にプレーしているだけだった。攻守にわたって1対2、1対3の状況ばかりでは、いくらワールドクラスを揃えていても敵うはずがないし、それを打開しようという動きもなかった。例えばエジルの引いたりスペースで受けたりする動き、ミュラーの斜めに動いて飛び出す動きをする選手が1人でもいれば違った展開になっていたはずだ。守備も規律がないからマスチェラーノにとんでもない負担がかかる。近年でも最高級の選手を揃えていただけに、監督の用をなさない人物をベンチに置いていたことが惜しまれる。

Spain 1-0 Paraguay
 まるで、ここまでの試合のリプレイを見ているようだった。動けないフェルナンド・トーレスが流れを止めるスペイン。そこにバラグアイが仕掛けてきた高い位置からのプレスや素早い囲い込みが完全にはまり、滅多にボールを失わないシャビやイニエスタまでがミスを繰り返してリズムをつかめない。その原因が一選手の調整に毎試合の半分以上を費やしているベンチにあるのは明白で、もしあのPKが決まっていればデルボスケは歴史に残る愚か者として記憶されることになっただろう。
 そして、例によってF・トーレスを下げた途端にボールが回りだす。さらにペドロも入れてバルサの選手たちのコンビネーションで組み立てていた時間帯が一番スペインらしいプレーをしており、決勝点も奪ったのだから皮肉なものだ。もはや答えは明確になったのではないか。ドイツには、中途半端は間違いなく通用しない。
 パラグアイは集中を切らさず、下がることなくよく守り、危険なカウンターを何度も浴びせた。勝つ資格は十分にあったが、ことごとくカシージャスに阻まれた。このゲーム、真の勝者は「聖イケル」かもしれない。

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2010 FIFA World Cup South Africa:Quarter-finals(7/2)

Netherlands 2-1 Brazil
 ともに負けないことだけを考え、リスクを冒さないプレーに終始した。リードしている間のブラジルはそれでも良かったが、追いつかれ、追いかけることになってもそれを変えなかった。相手が下がっているのにカウンターしかしようとしない姿は、王国が持つはずの融通無碍さとは程遠いものだ。またベンチも膠着したゲームに対して何ひとつ有効な手を打とうとしなかった。1人足りないとはいえ、前を増やすなり攻撃的な選手を投入するなり策はあるはずなのにトップ同士を代えただけ。あまりにもリスクを嫌い過ぎ、勝ちに行く姿勢を見せなかった。ドゥンガが限界を露呈した、ということだろう。確かに強かったが、規律だけを重視してプレーするのは、やはりセレソンではない。何もないところから失点して敗れた結果は、アイデンティティーを放棄した罰を受けた、と考えるべきかもしれない。
 オランダは前半、負けているのにカウンターを怖がって何もしようとせず、逆転して相手が1人減ってからやっとプレーを始めた。前からプレッシャーをかけてコンビネーションと個の力で攻め込む、この時間帯のプレーこそが本来の形のはずだ。運だけではこれ以上先にはいけない。こちらも持ち味を思い出さなければならない。

Uruguay 1-1(PSO4-2) Ghana
 双方ともコンパクトかつタイトにプレーし、出せるものは出し切った。それだけ運動量も終盤には激減して打ち合いの様相にはなったが、最後の局面で守備が集中を切らさなかった。ガーナは、アフリカ人の能力に規律が加わったときにどうなるか、という将来像の一端は見せたが、相手を押し切るほどの迫力は持ち合わせていなかった。グループでのオフェンスの質を高めていけば、4年後にはより上を狙えるチームになっているはずだ。ウルグアイはスアレスを欠いてオランダ戦に臨まなくてはならない。相手がどこであろうと、失点は計算できる。どう点を取りに行くがキーとなるだろう。

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2010 FIFA World Cup South Africa:Round of 16(6/29)

Paraguay 0-0(PSO5-3) Japan
 ともに、フリーズしたゲームを「解凍」する手立てを持たなかった。日本はビルドアップの1本目のパスからミスを繰り返し、阿部や長谷部に相手がプレスをかけてきたことで、ただ蹴るだけのシーンも多かった。前に収まっても後ろの選手がリターンを受けられるポジションまで出て行かなかったり、その次をミスしたり。持ち過ぎて奪われる場面も目に付いた。何本もあったFKを本田にほとんど蹴らせなかったのも不可解だった。パラグアイは日本よりは深くまで運べていたが、ラストパスの精度があまりに低く、個の力に頼るしかなかった。
 途中からはレフェリーも赤白のユニフォームに着替えたかに見える判定を繰り返す中で、特に終盤は途中出場の中村憲や岡崎がスペースに入り込んで起点となり、何度も好機をつくったが、そこでパスがずれたり、打てるはずのところで打てない。ベンチも選手も取りにいったのに取れなかったのは、そこまでの力しかなかった、ということだ。ただ、その状況でも守備の堅固さが失われなかったのは、チームが戦ってきた中でレベルアップしたことを示している。
 日本は、組織に本田や松井ら数人の「個」が加わったことで、ただ守って負けない試合を目指すだけではなく、勝利を狙える力は示した。今後、点を取って勝ち切れるようになるためには質の高い個が組織を形成するようにしていかなければならない。今大会でいえば、究極はブラジルだ。1人1人が精度を追求し、状況を見て高いリスクすら冒せる判断力を磨いていく必要がある。そのためには、Jリーグは現在のように牧歌的な、事なかれ主義がはびこるゲームばかりしている場合ではない。言うまでもなく、それは2部もだ。日本のフットボールに関わる全ての者が、4年後に向け野望と希望を抱いてゲームに臨み続けなくてはならない。

Spain 1-0 Portugal
 前半のスペインは見るに堪えなかった。足元から足元に回すばかりで、ビジャは相変わらず開きっ放し、フェルナンド・トーレスまでイニエスタが中盤に下がってプレーするスペースを埋めるかのように右にばかり流れる。誰が点を取るつもりだったのだろう。さすがに後半は動きが出てきたが、中が足りないのはそのまま。逃げ回らないジョレンテを入れてやっとフットボールの体をなすようになった。先制すると回し倒して時間稼ぎに入ったのはいいが、なぜか最後に慌ててボールを失い続けて押し込まれるなど、まだ本調子には程遠い。
 デルボスケはそろそろ使える選手を見極め、選手が能力を最大限発揮できる形を見いださなくてはならない。中途半端に守備を意識してブラジルの真似をしたところで、彼らには絶対に勝てない。このゲームの相手を見ればわかるはずだ。ボールやゴールを奪いにいく戦略もなく引いて守るだけで、攻撃は個人に丸投げし、回されだしたら手も足も出なかったではないか。所詮コピーはコピー。スペインにはオリジナルがある。それを思い出すだけでいいのだ。

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2010 FIFA World Cup South Africa:Round of 16(6/28)

Netherlands 2-1 Slovakia
 まったくリスクを冒そうとしないオランダと、その段階まで行く前にミスを連発するスロヴァキア。まるで全てが決まったグループリーグの3つ目のようなゲームで、見るべきものは数少ない個人の突破ばかり。オランダは次に向けて体力を温存しようとしたのか、単純に体が動かなかったのか。挙げ句の果てに要らない失点。過去の数々の失敗の記憶がよみがえってくるような内容だった。

Brazil 3-0 Chile
 スペインは恐れなくても、ブラジルは怖かったようだ。チリは無理に最終ラインを上げずにカウンターをケアしていたが、それはプレスが利くことが前提だったはずだ。ところが当たりが明らかに弱く、簡単に交わされるとそこには広大なスペース。スピードに乗ったセレソンの選手を止めるのは誰でも難しい。また前半はスアソが簡単にボールを失い過ぎて前に仕掛けるタイミングをつかめず、入れるパス自体のミスも多かった。後半の選手交代で収まるようにはなったが、今度はブロックをつくられて出て行くスペースがない。持たざるを得なくなったところをさらわれてカウンターを食うのは結局同じだった。相手を意識し過ぎて、自分たちのプレーを全く発揮できないままでの敗退には悔いが残る。
 ブラジルにとって、腰の引けたチリでは相手として不足だっただろう。相手が少しでも時間をかければあっという間に囲んで奪い、運ばれれば水も漏らさぬ堅陣をゴール前に築き上げる守備。攻めてはカウンターのみに世界一の個人技を投入することの恐るべき合理性を存分に見せ付けた。次の相手がこの日と同じオランダであれば、敵ではないはずだ。

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2010 FIFA World Cup South Africa:Round of 16(6/27)

Germany 4-1 England
 中盤で引っ掛けて速く攻めたいのはどちらも同じ。ただ、そこからの質が違い過ぎた。縦、横、斜めと次から次にポジションチェンジを繰り返してパスコースをつくり、ダイレクトやワンタッチで動かして取りどころを与えないドイツと、持ち場から動かないからボールホルダーが出せず、結局蹴るだけになったイングランド。途中、ルーニーやランパードが引いたり出たりすることでスムーズに攻められた時間帯もあったが、他の選手ができたスペースに入ってこないので結局フィニッシュは力ずく。持たれてもカウンターをされても、コンビネーション、ライン操作ともに不安定でズタズタにされ続けた守備陣も含め、これ以上勝ち上がる力はなかった。例のシュートがゴールと判定されていたとしても、結果は同じだっただろう。
 ドイツはほぼ完璧といえるゲームだった。次のアルゼンチンも中盤でプレスをかけて最終ラインが直接さらされないように注意し、このゲームのようなコンビネーションで攻め込むことができればそう難しい相手ではない。いい流れになってきているようだ。

Argentina 3-1 Mexico
 メキシコは、個を組織で抑え込むことは、ある程度できていた。それだけに存在するはずのなかった2失点がゲームに大きな影響を与えた。誤審は彼らの責任ではないが、直後の2点目は集中を欠いた、と言われても反論できまい。攻撃でも回してはいても裏を突いたり中央ででボールを引き出す動きが足りず、単調なサイドアタックや手詰まりになってのロングシュートに終始したことで、コンビネーションに難のある相手の最終ラインを崩しきれなかった。韓国もそうだったが、相手の名前に対して必要以上の重圧を感じているようにも見えた。
 アルゼンチンは前線の選手が即興のコンビネーションでゴールに迫る姿にこそ迫力があったが、プレスバックをしたりしなかったり、押されたら押される一方で前に出て行けなくなったり、やはり「個人能力×11」のゲーム運びでは限界がある。ドイツは名前には恐れを抱いてくれないだろうし、組織力では比べものにならない。厳しいゲームになるだろう。

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