EURO2012 Best11

Iker Casillas(Spain#1)
 チームが常に支配していたことで守備機会自体は多くなかったが、訪れた決定機は悉くシャットアウト。存在感は十分だった。

Philipp Lahm(Germany#16)
 常に自分が何をすべきか理解しており、攻守にわたってあらゆる局面でチームに貢献した。ギリシャ戦で重苦しい雰囲気の中叩き込んだミドルはその象徴。

Sergio Ramos(Spain#15)
 空中戦の強さは圧巻。ポジショニングも的確で相手の苦し紛れのロングボールを片っ端から撥ね返し続けた。正確なロングパスもビルドアップに変化を与えていた。

Mats Hummels(Germany#5)
 無理をせずにボールも奪える守備もいいが、プレッシャーがかかっていても質の高いクサビやサイドチェンジを繰り出せる足技とパス能力は超一流。ドイツの攻撃に新たな側面をもたらした。

Jordi Alba(Spain#18)
 追随を許さないスピードとそれを続けられるスタミナを存分に披露した。わずかなタイミングを逃さずゴールを演出したフランス戦、延長で相手を翻弄し続けた準決勝。決勝に至っては素晴らしいランとトラップでゴールまで決めてみせた。

Xabi Alonso(Spain#14)
 ハイライトは滅多に見せない飛び出しなどで2点を挙げたフランス戦だろうが、大会を通して危ないところを確実に消す守備、正確極まりない長短のパスでチームを支えた。

Andrea Pirlo(Italy#21)
 件の”クッキアイオ”が白眉ということになろうが、新しいアッズーリの象徴としてボールを受け続け、殺傷力の高いパスを前線やサイドに供給し続けた。

Daniele De Rossi(Italy#16)
 最終ラインでも中盤でも正確なパスでビルドアップの局面においてピルロをよく助け、守備でも素晴らしい読みとハードな当たりで質の高さを見せつけた。

Andrés Iniesta(Spain#6)
 明らかに、一人だけいる世界が違った。持てる、運べる、出せる。彼を止めるにはファウルですら十分ではない。触れることすら許さないプレーも数多くあった。

Riccardo Montolivo(Italy#18)
 豊富な運動量で後ろと前をつなぎ、高い位置では決定的なスルーパスも再三繰り出した。もうひとつ前に出られれば、チームの結果自体が変わっていたかもしれない。

Václav Pilař(Czech Rep.#14)
 群を抜く速さと技術で左サイドを制圧。タレント不足と謂われたチェコに違いをもたらした。斜めに走って裏を取るプレーでも相手を悩ませ続けた。

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EURO2012 Final(7/01)

Spain 4-0 Italia
 イタリアもまた、中盤をコンパクトに保ってハードプレスを仕掛けてきたが、スペインが手を焼いたのは5分程度。ほどなく、ほとんどないはずの隙間に次から次へと人とボールを送り込み、ラインをエリア付近まで押し下げてしまった。「本気を出した」と言っては語弊があろうが、パススピード、テンポ、人の動きと、ここまで見られなかった速さと精度を見せつけたのは事実だ。あっという間に先制すると、ゲームコントロールに入るのはいつもの姿。ただ、切り替えの守備が緩かったことと、ピルロにマークしづらい低い位置から散らされたことでサイドを破られるなど危険な場面もあった。後半もディ・ナターレに何度か裏を取られていたし、相手が負傷で1人減っていなければ失点していた可能性はゼロではなかった。それだけにジョルディ・アルバがサボらずに長い距離を走って挙げた2点目は結果的に大きかった。
 相手という相手が悉く対策を打ってくる中でもボールを持ち続けることでリスクを最小限に抑え、好機を逃さず勝ち切る姿は王者にふさわしいものだった。彼らのプレーを制限することはできても自分たちがプレーすることまで手が回らず、軍門に降り続けた各チームの姿が、ラ・ロハの強さを物語っている。クオリティーで上回るチームが現れない限り、スペインの天下は続くはずだ。
 不運もあったアッズーリだが、立ち上がり15分の時点で力の差は明らかだった。攻めに転じたように見える時間帯でも、結局は相手が使わせても構わないと考えている場所しか使えていないので、手数をかけた攻めは当然のように撥ね返され続け、サポート不足の前線は常に3、4人で囲まれる。結局、伝統のカウンターに活路を見出さざるを得なかった。
 デ・ロッシ、モントリーヴォと、ピルロの補佐役を増やしたことでボールを持てるようにはなった。ただ、その位置が低いことで前に行く人数が足りず、前線が孤立し続けたのも今大会のイタリアだった。「点を取るのはFW」というメンタリティーがあるのかもしれないが、そこを改善していかないとただ回せるだけのチームで終わりかねない。得意の飛び出しをまったく披露できなかったマルキージオが頻繁にフィニッシュに関与できるような形をつくり上げることが、プランデッリの次の仕事になるだろう。

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EURO2012 Semi-finals(6/28)

Italy 2-1 Germany
 レーヴが策に溺れた、と言うほかない。クロースが動き回ってポジションチェンジを誘発することでスピードやポジショニングに難のあるキエッリーニを攪乱しよう、という意図があっての起用だったのだろうが、あまりに彼が元の場所にいな過ぎたことでエジルが右に出っ放しになり、中央で受けられる選手が誰もいなくなってリズムをつくることができなかった。また守備面でも誰が戻るのか明確ではないから、ボアテンクが1人で見る形になった右サイドをカッサーノに自由に使われ、失点をも招くことになった。追う状況になると、ゲームコントロールの拙さがまた顔を覗かせる。彼我の力量、コンディションの差、時間帯。どれをとっても焦る理由などないのに単調な放り込みに終始し、守備は疎かになる。出し手も受け手もマークすることなく、カウンターとすら言えないような形で失った2点目が、彼らの精神状態を象徴していた。
 最も質の高いプレーをしたのがドイツであることは間違いない。ただ、自分たちから崩れる場面も多く、ベンチが選手を動かし過ぎてそれを助長した側面もあった。2年後、4年後も視野に入れてのことだろうが、メンタリティーやゲーム運びなど、勝たなければ身につかない強さもあるはずだ。多くのチームが過渡期にあった今大会は、それを手に入れる絶好のチャンスだったはずだが…。
 コンディションに不安があってもペース配分より自分たちのプレーをすることを優先して入り、動けるうちに相手の混乱に乗じて得点。交代策も先手、先手を打って守備を固めながら選手を休ませられた。イタリアにとっては、理想的な展開だった。もっとも、コンパクトな中ではボールをうまく回せていなかったし、ファイナル・サードの人数が足りないのも(途中から必要がなくなったとはいえ)変わっていない。今のスペインから得点するのは困難を極めるはずだが、正々堂々と戦えば何が起きるかわからないことはこのゲームで証明してみせた。積み上げてきたものを出し切ってぶつかっていくほかないだろう。

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EURO2012 Semi-finals(6/27)

Spain 0-0(4-2 on penalties) Portugal
 ポルトガルは前から積極的に奪いにいき、それを90分以上続けられたことで攻め込まれる時間帯を最小限に抑えることに成功した。ただ、R・メイレレスやモウティーニョがプレスに忙殺されたため、カウンターを仕掛けたくても攻め手はC・ロナウドの単独突破がメインにならざるを得ず、アウメイダもゴール前での視野の狭さ、落ち着きのなさを露呈するばかりで、狙い通りのゲームを遂行できた割に決定機は多くなかった。相手に合わせてプレーすることの限界を示した、とも言える。今大会を戦ってきた中で形になりつつある、中盤の攻守にわたるハードワークを基盤としたアグレッシヴなプレースタイルを突き詰めていけば、自分たちが主導権を握れるようにもなっていくだろう。
 日程の不利もあったか、足が動かずボールも動かない。普段なら2つ先に出るパスが1つ目にしか出せなければ、プレスの餌食になるのも当然だった。それでもスペインが連覇への挑戦権を得たのは、個々がマークやカバーを怠らず、ミスを連続させなかったことでピンチの芽を大きくしなかったからだ。華麗さの皮をめくったところにある、この忠実さこそが王者の強さの本質かもしれない。決勝に向けては、まずコンディションを回復させること。体さえ動けば、いつものパフォーマンスを取り戻せるはずだ。

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EURO2012 Quarter-finals(6/24)

Italy 0-0(4-2 on penalties) England
 デ・ロッシやモントリーヴォがピルロの前後左右に降りてきて補助する形にビルドアップを修正してきたイタリアは、相手がボールを放棄したことも相まって当然のようにゲームを支配する。ただ、バイタルエリアまでは運べてもマルキージオやノチェリーノに追い越して裏を突く意識が乏しく、カッサーノは自分勝手に可能性の低いシュートを放ち続けるだけで、多くの時間帯はブロックの外側で回すばかりだった。前が空いていたことで両サイドバックはよく攻めに参加したが、クロスを入れてもテリーとレスコットが構える中央で勝てる選手はそういない。偶発的なチャンスしかなかったのは、決して不運などではない。そしてドイツは彼らが目指しているものをほとんど持ち合わせている。日程の不利もあるし、まともにぶつかってもまず勝ち目はあるまい。中盤でプレッシャーをかけ続けた上で、スペインにしたように穴を徹底的に突く策を用意できるか。
 エンブレムのライオンをバスに描き換えた方がいいぐらい、恥も外聞もなく中央を10人で固めて守り倒すことを選択したイングランド。390分間、両ストッパー以外に本来すべき仕事をした選手が誰もいなかったのだから、ネガティヴな印象しか残さなかった敗退も受け入れるほかあるまい。ここ数年、人材がいないわけではないのに、人垣を築く以外のチームとしての意図が見えないままだ。ドイツやイタリアのような抜本的な改革を図る時期をとっくに迎えているはずなのに、「母国」のプライドとやらが邪魔でもしているのだろうか。

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EURO2012 Quarter-finals(6/23)

Spain 2-0 France
 スペインは終始中盤のスペースを徹底的に消されたが、早い時間にシャビ・アロンソの飛び出しという予想外のオプションを繰り出して先制すると、無理せず回してゲームをコントロールし、アタッカーにボールが渡っても素早く圧力をかけプレーすることすら許さない。相手が攻撃的な選手を入れてくるのを見計らって裏に走れるペドロとフェルナンド・トーレスでラインを上げさせなかった交代策も適切だった。今までの彼らなら下らないミスから失点して自壊しかねないような緊張感のあるゲームを、集中を切らさず勝ち切ったところに4年間積み重ねてきた勝者のメンタリティーが根付いていることが見て取れた。これだけ対策されても結果を残し続け、まだ手の内を見せ切っていない底の深さ。やはり、本命はラ・ロハか。
 フランスは何もさせてもらえなかった。コンパクトに保った中盤で奪ってカウンター、という狙いは明確だったが攻めの人数が足りず、リベリは常に囲まれ、ベンゼマは孤立。周囲の選手は下手に出ていけば裏をやられる、という怖さに足を止められていたかのようだった。攻めに出なければならない終盤にはボールを追いかけ回し続けた足が止まり、ポジションに立っているのが精一杯、というありさま。圧倒的な差を実感することとなった。それでも、これが彼らの目指す形ではあるまい。大会を通して「工事中」という印象で、コンビネーションの拙さが目立ったが、若いタレントが顔を揃えるスカッドは魅力十分。もっと試合をこなして熟成していけば、スペインの域に足を踏み入れる可能性すら感じさせた。前向きな気持ちでウクライナを後にできるのではないか。

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EURO2012 Quarter-finals(6/22)

Germany 4-2 Greece
 ミドル、飛び出し、セットプレーと、引いた敵をやっつける博覧会のような取り方をしたドイツだが、果たして狙い通りだった、と言い切れるのか。少なくとも、レーヴとクローゼは考えを共有していたはずで、11番はバリケードの中にとどまることなく巧みに味方へスペースとボールを供給していた。ただ、そこに入っていく動きが何回あったか。常に人垣を前にしていたことは考慮するにしても、ロイスもシュールレも自分のプレーをしようとするので精一杯で、全体の流動性が引き出されていたとは言い難い。しかも、相手があまりにも出てこなかったからか、持っていれば何も起きないのに焦れて無理なボールを入れてプレゼントしてみたり、このレベルでは考えられないような集中を欠いたパスミスやボールロストも数多く犯した。オランダ戦でもこういった時間帯があったが、今回はその一つが失点につながった。戦況を見る目をさらに磨いていく必要があるだろう。もっとも、さしていい内容でなくても次には進んだ。若手に経験を積ませることもでき、彼らが結果も出した。精神的にはいいこと尽くめで、勢いに乗れる結果と言えよう。戦術的に多少の修正点はあるが、あと2つ。頂上がくっきり見えてきた。
 守るだけでカウンターすら仕掛けないチームがここにいる資格はない。ギリシャはそのことを証明しただけだった。攻撃を2人に「倍増」させた後半にミスを突いて追いつく強かさこそ見せたが、内容はレーハーゲル時代よりむしろ後退している。4試合を通して、見どころはF・サントスの采配だけだった。

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EURO2012 Quarter-finals(6/21)

Portugal 1-0 Czech Rep.
 チェコはよほどC・ロナウドが怖かったのか終始ズルズル下がり、ボールを持っても何かに怯えているかのようにあらぬ方向に蹴るばかりでオーバーラップもなく、まるで別のチーム。わざわざ引っ張り込んだ挙句、局面では個人能力で上回る相手に劣勢を強いられ続けたのだから自滅と評するほかない。前線でボールをよく受けていたダリダを早々に下げて中盤の守備固めに走った交代策といい、ベンチワークに問題があったことは明らかだ。相手を過大評価し、自分たちの強みであるパスフットボールを放棄する愚を犯した臆病さに罰が与えられたのだ。
 前線以外はほとんどノープレッシャーでプレーできたのだから、ポルトガルはさぞかし楽だったはずだ。とりわけR・メイレレスとモウティーニョは存分にダイナミズムを発揮して至るところからチャンスを量産し、相手を追い詰め続けた。出るはずもなかった不安要素は、持ち越したとも言える。真価を問われるのは次だろう。

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EURO2012 Group stage#12(6/19)

England 1-0 Ukraine
 リスクを冒す必要のないイングランドは例によってボールを譲って中央を固める。その割には間に入られるとスペースが空いたり、簡単にクサビを入れられたり、あまり堅牢とは言いかねる守備だった。例えばカッサーノに同じようにされて、マルキージオが突っ込んできたら、崩壊は免れまい。ワールドカップの借りを返したかのような判定にも救われた。プレーすることを放棄して得られるものには限界があるはずだ。
 ウクライナは、ここまでも志向してきたボールを大事にし、サイドを使うことはしていた。ただカウンターを警戒し過ぎたのか後方からのフォローが薄く、前線でも縦横のポジションチェンジなどの動きが足りなかったことでゴール前に置かれたバスを動かすには至らなかった。いい突破も見せたが、プレー選択の甘さや精度の低さが目立ったヤルモレンコやコノプリャンカにとっては、ポスト・シェヴァの時代に向けていい勉強になっただろう。彼らを筆頭に若いタレントが揃い、規律もしっかり守られている。明るい未来を予感させる3試合だった。 

Sweden 2-0 France
 メクセス?透明人間の名前か?スウェーデン人か?散々マッチアップしているはずのミランの同僚のマークもロクにできず、それ以外にも集中を欠いたプレーのオンパレード。挙句の果てに要らないカードをもらって出場停止とあっては、いない方がチームにとって有り難いかもしれない。
 攻撃もテクニシャン揃い、と言えば聞こえはいいが、実態は足元から足元の各駅停車か、「通れば面白い」という名の意思疎通を欠いたパスばかり。相手のDFは俊敏性を欠いていたのだから、ちょっと走れば簡単に外せたはずなのに、彼らがそうした回数など片手で足りるはずだ。せめてベンゼマがストッパーを背負って引き付けてくれれば良かったのだが、彼も引いて受けて周囲と同じプレーをしたがるばかり。もっとも、ポストができるジルーが入ってもやり方が変わらなかったり、足元タイプばかり投入してジルーが10分しか与えられなかったところを見ると、ブランはスペインでも目指しているのかもしれない。奇しくも次はその本家。このゲームのようなプレーが続くなら、完成度と支配力の差を以て強烈なレッスンを受けることになるだろう。
 スウェーデンはほとんど守っているだけだったが、ヴィルヘルムソン1人が裏や斜めに走っただけでイブラが空く回数が増え、多少は攻撃できるようになった。ベテランの経験値のなせる業ではあるが、先発した誰かが真似できないほどのものでもあるまい。こんなところにもチームの完成度の低さが現れている。ついにエースを生かすことができたのが、最後の45分とは皮肉としか言いようがない。

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EURO2012 Group stage#11(6/18)

Italy 2-0 Republic of Ireland
 大凡戦。アッズーリはデ・ロッシを前に出したことで後方の起点を失い、出所がピルロ1枚になったことで前に入るボール自体が減り、後列の飛び出しも使えない。セットプレー2発で何とか次に進む権利は得たが、3バックだとサイドを狙われ、4バックだとチーム自体が機能しない。デ・ロッシの配置を含め、考えなければならないことが山積みだ。
 アイルランドは気持ちこそ入っていたが、そもそも何かをするためにチームがつくられていない。スペイン戦のようにボールがあっという間に回収されることはなかったが、ファイナルサードやその前で自分たちの技術不足で失っているのだから結果は同じ。30年前の発想で勝てるほど現代のコンペティションは甘くはない、ということを痛感させられただけだった。

Spain 1-0 Croatia
 引き分けで十分なスペインは回すことは回しても相手が守ってきたこともあって、走らせて足を止めてしまえばどこかで取れる―と言わんばかりに、あえて深い位置で受けたり裏に出ようとしていなかったようにも見えた。ただ切り替えの守備まで緩み、特にクロアチアが攻撃的な交代をしてきた後に再三決定機をつくられた部分は修正しなくてはならない。
 クロアチアはプラン通りのゲーム運びだったろうし、最後までよく走り、よく戦った。マンジュキッチとイェラヴィッチの2トップはどこにとっても脅威であることを示し続け、中盤の構成力も高かった。次に進む資格は十分にあったはずだ。それだけにイタリア戦を取り切れなかったことが痛恨だった。

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