2010シーズン総括(後編)

<GK>
#21 高原 寿康
 下らないミスがほとんど影を潜め、莫大な数の決定機を数知れないほど止めて空中分解していたチームを救い続けた。その代償が負傷という形になったことは無念でならない。彼と芳賀がいなければ、最下位を争っていてもおかしくなかった。この2人に対しては、チームは正当に報いる義務がある。


<DF>
 チームディフェンスがまったく存在せず、ほとんどダイレクトに相手の攻撃を受け続ける羽目に陥ったのは同情するほかないが、それにしても対敵動作の軽さ、ボールウォッチャーになる頻度の高さ、マーキングの緩さなど質の低さが目に付いた。肝心なところで体を張ることすらできないのだから、存在意義自体を疑われても文句は言えまい。前がもらおうとしないことを割り引いても、何の意図もない横パスを延々と回し続けて相手が戻って陣形を整える時間をつくってやってから、出鱈目に蹴ってボールまでプレゼントする親切さも相変わらずで、何の進歩も見られなかった、と評価するほかない。


<MF>
 受けようとしない、さばけない、飛び出さない、守備もしない。いくら規律がないといっても、やるのは自分たちなのだ。言われなければ何もしない(言われたら言われたでそれしかしない)、考えも戦いもしない、では勝てるはずがない。あまりに誰も何もしないものだから、芳賀が一人で全部やろうとする始末。何とかしようとしていたのは彼以外には古田と三上ぐらいだった。高木が入って多少はマシになったが、形になりだしたのは宮澤と上里が負傷したことによって砂川が加わってからとあっては、手遅れにも程があった。どうすればチームを動かせるのか、ゲームをコントロールできるのか。高木や砂川から他の選手が学ぶべきことは山ほどあるはず。口を開けて眺めていただけではないことを祈るばかりだ。

#18 芳賀 博信
 一人で中盤から最終ラインにかけて空きまくった穴を埋めようと奔走し続け、ボールを受けようとしない相方に代わって不得手な散らしもやらざるを得なかった。ついには前線に飛び出すことまで…。他の連中は、彼の足元に跪いて感謝の言葉を述べ、給料を差し出すべきだ。確かに技術的なミスは多かったが、それが何だというのだ。やろうとしてできなかったのだから、何もしようとしなかった奴らに比べればはるかに尊いし、意図や精度において徐々にではあっても進歩している。これを無駄働きに終わらせてはいけないことぐらい、周囲もいくら何でも理解しているだろう。


<FW>
 そもそも何をすべきなのかすら明確ではない中で、適当なロングボールばかり飛んできたり、欲しいタイミングでほとんど球が入ってこない状況では機能しなかったのも無理はない。ただ、ゴールを奪う、というこのポジションで最も意識しなければならないタスクへの意識があまりに低かったことも事実だ。ボックス周辺で前が空いたのにサイドに出したり、戻したりしているようではFWとはいえない。チャンスが少ないからこそ、もっと執念を見せなければならなかった。


※チームが機能しなかったことで評価が困難になった選手、それ以前に評価に値しないと考えた選手は割愛。

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2010シーズン総括(前編)

<チーム>
 シーズンを通して攻めるのか、守るのかといった根源的な方向性すら明確に示すことがなく、フットボールをプレーしているのかどうかも判然としないありさまは、プロを名乗り、金を取るには値しないものだった。目の前の相手をやっつけよう、何としてでも点を取ろう、といった気概もなく、どうすれば状況を打開できるのか考えた形跡すら見せず、横パスやバックパスという形で責任を押し付け合うばかりでピッチ上をさまよい続けた大半の選手たち。そこに筋を通そうともせず、特定の選手や形に拘泥し続けたベンチ。これではチームの体をなさなかったのも当然だ。
 論評に値しない、と言うほかない9カ月間を、どう考え、どう先につなげていくのか。酷い内容が続いても危機感を持たないのだから、強制的に戦術、戦略を詰め込み、ない頭でもオートマティックに動けるぐらいまで追い込む、という選択肢だって出てくるかもしれない。これは極論だとしても、7年間も育成を掲げて、若い選手を使い続けている割にはチームが成長していないのは、まごうことなき事実だ。一向に伸びてこない選手がのうのうとピッチを散歩し、向上心や気概のある選手がそれに毒され続けている現状も、正しいものとはいえない。つまり、どこかが間違っているのだ。それを正すための「スイッチ」に、この無残なシーズンをしなくてはならない。今季の教訓を無駄にするようなら、本当にこのチームは消滅への道に踏み出すことになるだろう。


<監督>
 プレスポイントはどこか、奪いにいくのか限定だけなのか、ラインはどう設定するのか…。どんなチームでも、特に守備において必ず規律は存在する。むしろ強いチームほどそれは明確かつ緻密で、従わない者は弾かれる。11人が連動してゲームを高いレベルで運ぶためにはルールが必要だからだ。然るに札幌のゲームを見る限り、そんなものは存在しなかった。いくら札幌の選手が甘くて、ぬるくて、何も考えていなくても、言われたことぐらいはしようとするはず。であれば、この人物がチームとしてすべきことを何も指示していなかった、と判断するほかない。
 その上、自分で使ったワントップを機能させる術を持ち合わせていなかった。サイドの選手にダイアゴナル・ランをさせることは徹底していたが、トップ下で重用した選手がボケッと突っ立っていても何も言わなかったようで、縦のダイナミズムがない攻めに厚みや深みは存在せずじまい。背負って受けられるCFがいないチームがワントップを採用するなら、前の選手が連動してある程度システマティックに動かないとボールをキープして攻める時間をつくれないはずだが、縦パスをどう受けるのか、その時にどうフォローするのか、という最初のところからバラバラで、意思統一がされているようには見えなかった。ミスやアイディア不足を挙げることが多かったようだが、それ以前の部分を設定し、トレーニングするのは監督の仕事ではないのか。
 1シーズンなら「自主性を引き出す」「結果は求められない」というエクスキューズもあろう。しかし、2シーズンやって向上の跡が見られないどころか悪化する一方で、使い続けた選手はまったく成長しない(砂川や高木と比べれば邪魔ですらあった。つまり、勝つための選択をしていないともいえる)とあっては、監督としての資質、手腕に疑問が呈されるのは当然だし、上に記した内容を鑑みれば職務放棄とまで糾弾されても反論の余地はあるまい。最終戦後のコメントに至っては責任ある立場の人間としてすら疑義を抱かざるを得ないようなもので、もはや袂を分かつことこそがお互いのためだろう。

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2010J2#38 札幌4-0熊本@札幌ドーム

 ゴールに向かってプレーすれば、何かが起こるのだ。ミスばかりだったし、質が高かったともいえないが、これぐらいの気持ちでなぜ常にできなかったのか。そんなに、日常のゲームで点を取って勝つ、ということはモチベーションにつながらなかったのか。ぜひ問うてみたいものだ。
 また、スコアは内容を反映したものではない。判断ミスがあまりに多いし、三上が流れたら中央は空っぽ。戦術が存在しないのだから考えて動く必要があるのに、必要な場所に人数が足りないのだから、失笑するしかない。左を崩して、藤田のダイヤゴナル・ランを生かそうとはしていたが、それ一辺倒で何の変化もなかったこともまた、彼らのインテリジェンスの欠如を示している。
 守備も相変わらずで、相手のボールホルダーに接近するだけのアリバイディフェンスの連鎖で簡単に運ばれ、最終ラインのポジショニングも滅茶苦茶。バカ正直にボールサイドに横ズレして逆サイドをがら空きにするとは、実に斬新な守り方だ。だいたい、そこまでして人を集めてもボールばかり見ていて簡単に破られるのだから、いる意味がない。
 どうやら、2年間監督としては何もしなかった人物のあの他人事のような口調からして、来季は新しい体制で臨めそうだ。ほとんどの選手は何もしていない。その自覚があれば休んでいる暇などないはずだ。ポジションを得るために全力でボスにアピールし、勝つために全力でプレーする。当たり前のことから、今すぐ始めなくてはならない。

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2010J2#37 福岡0-0札幌@レベルファイブスタジアム

 誰も責任を取ろうとしない。裏を取っている選手がいるのに戻す。ボックス内で受けたのにバックパス…。シュートよりサイド、縦パスより横パス、という指示でも出ているのだろうか。わざわざ相手が戻る時間をつくってやっているようなものだ。三上以外は誰も彼も「パス&ストップ」を忠実に遂行し続けたし、その三上にしても、早くも悪い先輩に毒されたような消極的なプレーが目に付きだした。藤田は必ず止まった状態でボールを受けていたが、よほどそこからの突破に自信があってのことか。そんな芸のできる選手は世界中を見渡してもそう多くはないはずだが。
 アイディアだのイージーミス以前に、この負け犬根性から叩き直す必要がある。このチームの場合、勝てないからこうなったのではなく、こうだから勝てないのだ。そのために何が必要か、チームに関わる者全てが真摯に考える必要がある。少なくとも、現状維持なんてあり得ないのだけは間違いない。

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2010J2#36 札幌1-0徳島@札幌ドーム

 頭を使える選手が中盤に2枚入ったことでボールの運びがスムーズになり、後ろも出ていけるのでネガティヴ・トランジションもいつになく速い。ゴールはそれが実ったものだった。上里や宮澤は、なぜ自分たちが並んでいる時とボールの動き方がこうも違うのか、高木と砂川の動き方から体の向きまで子細に観察して、それをモノにしなければならない。何年も一緒にやって、何も学んでもらえないのでは砂川も浮かばれまい。
 それに、三上あたりはテンポが上がったのについていけていなかった。アタッキング・サードでいてほしい所に人が入ってこなかったり緩急の変化に乏しいのも相変わらずで、状況に対応できない、今季の質の低さも痛感させられた。
 だいたい、この形は「決定版」ではない。砂川はもういなくなる。来季につながるものではないのだ。この事実が、ベンチがいかに優先すべきことを蔑ろにしてきたのかを示している。質も結果も意識も伴わない経験なぞ、何の足しにもならない。2シーズンを無駄にした責任を、どう取ってくれるのだろうか。

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2010J2#35 横浜FC1-0札幌@日産スタジアム

 ミスでボールを譲り合う展開は双方の選手の質の低さを証明していたし、そこから適当に蹴ったボールがことごとくゴール前までつながったことは戦術も戦略も持ち合わせていないことを示していた。後半、横浜がリスクマネジメントを省みずラインを上げて出てきて、ミスを繰り返したので札幌はカウンターを撃ち放題の状況が10分以上も続いたが、質の低い連中に決め切ることを求めるのは酷だった。ゴールに向かって走っている選手がいるのにサイドを狙ってミス、打てる状況でのおなじみの横パス…。ほかにも上がってボールを失ったのにチンタラ散歩していたり、何も考えずにキープして奪われてみたり、普通では考えられないミスのオンパレード。こんなのがプロを名乗っているだなんて、もはや笑うしかない。目の前の相手にすら勝とうとせず、点を取る気がない連中に「勝つ気があるのか」と罵声を飛ばして何が悪いのか。事実ではないのか? 事実だから怒るのか? ユースの選手の方がよほど真摯にフットボールに向き合って、意図のあるプレーをしている。監督もろとも彼らと入れ替えた方が、はるかに明るい将来が見えてくるに違いない。

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2010J2#34 水戸1-1札幌@ケーズデンキスタジアム

 ともかく、動かない。ボールを奪って前に出したら散歩を始める者あり、内村が孤立して悪戦苦闘しているのにサポートに行こうという姿勢も見せない、ボールを失ったら失ったでバラバラに追いかける程度でブロックをつくろうともしない。後方でフィニッシュへの道筋がまったく見えてこないパス回しを同じテンポで延々と続けるばかりだった。それでも何人かは何とかしようとしていたが、その熱を周囲が感じていない。今季、何度となく見せられた光景。チームの体を為していない、という寒々しい事実をあらためて痛感させられただけだった。
 何を言われてゲームに臨んでいるのか、はたまた何も言われていないのかは類推するほかないが、困って、迷って、結果的に何もしないことが許されないのだけは間違いない。プロとしての自覚を持ち、考え、走り、戦わなければ、自らの価値もチーム同様に落とすことになる。階段を上る気があるのなら、立ち止まっている暇などないはずだ。

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2010J2#33 札幌1-0千葉@札幌ドーム

 千葉のミスなくして、この結果はなかった。中盤でミス、フィニッシュワークでミス。こちらの守備がまったく間に合っていなくても枠を外しまくり、高原に止められる。何かの弾みでやられる、典型的なパターンだった。
 札幌はといえば前半はプレスに慌てて蹴るばかりで、後半立ち上がりこそ何をすべきか思い出したかのように押し込んだが、前半に走らされていたツケが回って20分で足が止まる。そこからは前半の繰り返しだ。最終ラインもボールウオッチャーに思考停止と悪癖のオンパレードで、単純なクロス以外にはほとんど対応できていなかった。これでは勝てる道理があったとは、とても言えない。
 高原が言うように「前から来るのは分かっていた」のなら、サポートを速くしてプレスをかわすなど、対処する術もあったはずだ。それに、こういうゲームを取ると判で押したように「よく耐えた」「体を張った」という台詞が出てくるが、そうじゃないだろう。なぜ、そうなる前に防ぐためのプレーができないことを省みないのか。攻守ともに切り替えの時に、正しいポジションをまったく取れていない。だから何をやっても後手を踏み、簡単に運ばれ、攻め切る前に戻られる。この部分が、いつまでたっても成長していない。芳賀が3人いれば、そんなことを考える必要もないだろうが、1人しかいないところに限界以上の負荷をかけていることを、周囲の選手はいい加減自覚する必要がある。
 プロとして必要な意識、インテリジェンスが欠けたまま(インターナショナル・スタンダードに近いレベルのレフェリングに対応する気もなく転がり続けた数名の選手は特に猛省しなくてはならない)では、たとえモウリーニョやヒディンクを呼んできたところで状況は変わらないだろう。足りないのは技術や精神力だけではない。

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2010J2#32 札幌0-1草津@厚別競技場

 ヘタクソ。以上。ボールを持ったときに落ち着いてプレーできないのは、それだけの意識を持ってトレーニングをしていないせいだろう。宮澤が外したシーンが象徴的だ。普段から打つこと、取ることを考えていないから、枠に飛ばせば入るものを転がすこともできない。相手の守備がタイトだったわけでもないし、点を取れなかったのはひとえにこちらの問題。どうせ、練習からノープレッシャーでやって、ミスしてもなあなあでやっているから、肝心なところで信じ難いミスばかりできるのだろう。
 「動きは間違っていない」「アイディアは出せている」―。確かにその通り。ただ、そのレベルは既にクリアしているはずだ。精度を上げる、結果に結び付けるなど次を目指そうという姿勢が見えないから、罵声が飛ぶのだ。胸に手を当ててよく考えれば、客に対してキレるなんて選択肢はないはずだ。また、進歩がない、という点においては、同じ選手ばかり使って同じように役に立たないベンチも同レベルだと言うほかない。
 守備はもっと話にならない。跳ね返したら足を止め、さして攻める気もない相手にセカンドボールを拾われて波状攻撃を浴びる繰り返し。なぜラインを上げないのか。なぜボールを奪いにいかないのか。しかも、ちょっと回されればすぐボールウオッチャーになってマークが空っぽになる。頭がまったく使えていない。攻撃の方が多少マシになったと思えば、今度はこっち。また1年間費やさなければまともにならないのか。足りないのにも程がある。
 今後もプロを名乗り続けたいのなら、よその選手が何をしているのか、何を意識しているのか、よく観察して見習わなくてはならない。普段対戦している選手たちが、その対象だ。J2でも意識レベルは最下層。恐らく、ユースの選手にも劣るだろう。ゲームを見ていればそれは明らかだ。その自覚がないと、ここで彼らはおしまいだ。

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2010J2#31 富山0-2札幌@富山県総合運動公園陸上競技場

 特にこちらが何をしたわけでもないが、向こうも何もしていない。つまり、ベースの差がスコアの差だった。結果以外に喜ぶべき要素はほとんどない。トップに入った時のサポートが薄く、得点機はラッキーと個人技絡みばかり。やらせてくれる相手だから砂川や高木の技術が生かせただけで、ちょっと強い相手であれば、この内容なら手も足も出なかっただろう。1トップでやる以上、後方から誰かが出て行かなければチャンスはつくれない。後半、上里が積極的に絡んでいって得点も挙げたが、下がり目の選手の飛び出しは本来オプション。高木こそ前に絡む意識が高かったが、それに加えて両サイドがゴールに向かってプレーしなければチャンスにならないのは当然だ。むしろ、この形ならウィング・プレーよりそっちの方が優先だろう。そうすればサイドバックも前が空いて上がれるし、ゴール前の枚数も増やせる。基本的に個の力に頼れない以上、厚みをつくって相手を攻略することを考えるのが一番だろう。
 そのためには正確なビルドアップがますます重要だが、最終ラインのそれは酷いものだった。狙いがあるだけマシだったにせよ、ミスを繰り返した石川、藤山。吉弘に至っては味方のジャージが青だと思っていたに違いない。さすがにフリーの局面でも誰もいないところにばかりボールを出されては話にならない。ずっと苦手にしているのだから、克服しよう、という姿勢ぐらい見せてほしい。芳賀を見習わなくてはならない。
 この期に及んで、ではあるが、地盤が固まってきていることは、この3試合ほどから見て取ることができる。そこに何を上積みしていけるか。攻めでは厚み、精度。守りでは正確なマーキングや集中力。相当に足りない部分がある。結果オーライは厳禁だ。なぜ崩せたのか、なぜ簡単に防がれたのか。なぜ守れたのか、なぜやられたのか。ここを厳密に突き詰めていかなければ、将来はない。

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