2008シーズン総括(MF・FW編)

MF#7 藤田征也
 ノー・インパクト。試合に出ていたかどうかすら記憶にないほどで、彼らしい突破や走り込みは影を潜めた。今季のやり方ではサイドハーフの活躍の場が少なくなるのは確かだが、それでも砂川あたりはゲームに関与できていた。その瞬間瞬間で、チームに何が必要かを見極める目の違いだろう。必死に走るだけではなく、プレーヤーとしての幅を広げることも考えていかなくてはならない。

MF#8 砂川誠
 攻めの薄さを認識し、何とか解決しようともがき続けた。サイド突破よりダヴィへのサポートを重視する動きが目立ち、そのこと自体は効果的だったが、次に出すところがなければどうしようもない。自分のゾーンから離れないことばかり気にしていた他の選手に、どれだけその意図が通じていたのかは疑問だった。もっと強く要求して周りを動かすぐらいのことはしても良かったし、その資格が彼にはあるはずだ。

MF#15 クライトン
 ビルドアップと呼べるようなプレーをしていた、唯一の選手。彼のパスとセットプレーがなければ-と考えると、ぞっとする。いくらマークされても、サポートがなくても次のプレーにつなげる様は、凄みさえ感じさせた。まさに孤軍奮闘だった。観客すら巻き込もうとした闘争心も、忘れることはできない。「守備をしない」などと的外れな批判も受けたが、できる範囲での守備はしていたし、ボールキープすることで守備に与えた余裕は計り知れない。大体、戻って来れなければ誰かがカバーするのがチームというものだ。そのシステムを構築できなかったのは彼の責任ではない。

MF#18 芳賀博信
 クライトンが空けたスペースをよく埋め続けたが、そのタスクを担ったのが彼一人では結末は見えている。案の定シーズンを追うごとに動きが鈍り、後半戦の大半をベンチから眺めることになってしまった。極端な戦術の犠牲になったと言うべきか。ただ、攻撃面での進歩は見られず、ただ蹴るばかりの場面が目立った。このポジションの選手には正確な状況判断と最低限のパスは求めたいし、特性を考えてももっとオーバーラップがあっていい。来季からは、走って、体を張ってさえいればいい、ということにはならないはず。サッカー人生を左右する正念場になるだろう。

MF#22 西大伍
 今季、最も成長した選手。恐らく、最初に使われた理由は競り合いの強さや運動量といった、彼のキャラクターからすれば的外れなものだったが、そういった部分を出しながら、徐々に持ち味のテクニックや飛び出しのセンスを発揮できるようになった。サイド、センター、トップでプレーし、どこもそれなりにこなしていたが、キープやショートパスの能力を考えればFWの近くでプレーする中盤が適任だろう。ミドル、ロングパスの精度を上げることができれば、視野の広さは持っており、優れたインターセプトの感覚もあるので、下がり目もできそうだ。見た目に似合わぬハートの強さも印象的で、来季はチームを引っ張る存在になるだろう。

MF#24 西谷正也
 守備力や運動量を不安視されたせいだろう、ほとんどが途中出場で、しかもチームがまともにプレーできない状況で出されても何かができるはずもない。ボールさえ来ればアクセントをつけられていたが、いい位置で受けられたことはわずか。ボールを受けに低い位置まで下がることもあったが、そんな所で持っても出す選択肢が1つしかないのでは意味はなかった。ほかの選手とうまく組み合わせられればまだやれるだろうし、彼のテクニックを必要とするチームはあるはず。力をフルに出せる環境が見つかることを祈りたい。

FW#10 ダヴィ
 適当に蹴られたボールを速さと強さでマイボールにしてゴールを決める、というとんでもないタスクを文句も言わずにほぼ完遂し、これだけの結果を残したのだから文句はつけられない。視野の狭さ、カードの多さは確かに問題だが、サポートもろくに得られない状況がこれだけ続けば味方を使う気にもならないだろうし、常にマークが複数いたのだからストレスもたまったはず。大目に見るべきだ。むしろ、コンビネーションプレーを苦手にしている部分が見受けられるので、手厚いサポートが得られるであろう次のチームにどうなじんでいくかが課題となるだろう。

FW#11 アンデルソン
 優秀なポストワーカーだが、今季のやり方に必要なタイプであったかどうかには疑問符がつく。ダヴィが出ていればボールはほとんどそっちに行ってしまうし、せっかく受けても相棒は絡んでくれない。ダヴィがいないゲームの方が周囲をうまく使って有効なビルドアップができていたのは、偶然ではないだろう。最初のうちは守備でも頑張っていたが、サポートは薄い、ボールは来ない、マークはきつい…なんて状況が続けばやる気を失うのも当然で、終盤は惨憺たる出来だった。

FW#13 中山元気
 サイドハーフで出だした当初は凄まじい運動量と積極的な飛び出し、ゴール前への飛び込みで強烈な印象を残したが、そんなハイペースが続くはずもなく、いつの間にか元に戻ってしまった。相変わらず走っているだけで、ボールとの相性も悪いまま。頑張ることは必要だが、技術やプレーヴィジョンを持つことはもっと重要だ。その部分を身につけられない限り、そろそろ首筋が寒くなってきても不思議ではない。


※出場時間が短い選手、評価すべきプレーがなかった選手については割愛した。

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2008シーズン総括(GK・DF編)

GK#1 佐藤優也
 高木の故障や乱調によって出場機会を得たが、違いを見せることはできなかった。反応の鋭さは相変わらずだったが、状況判断の拙さも相変わらずだった。良かったはずのキックも滅茶苦茶で、それでなくともボールをキープできないチームに逆風を吹かせただけ。課題は変わっていない。全てにおいて向上する必要がある。

GK#28 高木貴弘
 初のJ1ということもあったのか、昨季に見せた安定感は影も形もなくなっていた。守備が組織の体を為しておらず、危険な場面が多過ぎたことについては同情すべきだが、それでも判断が遅い場面が多かったし、それが原因で2度も退場になったことはいただけない。おそらく戻ることになるであろう大宮で、どれだけ教訓を生かせるかが、将来を決めることになるだろう。

DF#3 西澤淳二
 移籍して以来、さまざまな面で進歩し続けてきたが、いくら何でも身体能力を向上させるのは困難だし、その部分がもろに影響してしまった。できることはしていたが、相手のレベルがそれでは対応できないものだった。厳しい言い方になるが、能力の限界だった、ということか。

DF#5 池内友彦
 サイドバックとして出る機会が多かったが、昨季同様に行けるところでも自重する場面が多く、チームオーダーもあったとはいえ最後まで彼らしい思い切りの良さは見られずじまい。セットプレーでの存在感はさすがだったが…。守備でもポジショニングや相手への対応に難があり、自分のサイドを破られることが多かった。とはいえ、リーダーシップやプロ意識など、彼がチームに残したものは多い。持ち味を生かしてもらえるチームで、もう一花咲かせることを祈りたい。

DF#6 西嶋弘之
 チーム事情もあってあちこちで使い回され、どのポジションでも満足のいくプレーはできなかった。サイドではスピードに対応できず、中央では経験不足もあってポジショニングのミスからイージーミスまで、あらゆるミスを犯し続けた。ビルドアップの起点に、との期待もしていたが、チーム状態がそれどころではなかったためそれも果たせなかった。いくら頭のいい選手だといっても、レベルが上がったところでこれだけポジションが変われば対応するのは難しい。本人も、ある程度同じポジションでプレーすることを望んでいるだろう。ある意味、混乱を極めたチームの犠牲者だった、とも言える。

DF#19 坪内秀介
 チームがどんな状態でも、ファイトし続けた数少ない選手。ただ、攻守によく頑張ってはくれたが、いずれの精度も低かったのが残念。上がるタイミングなどはいいものを持っているだけに、足りない部分を向上させていけば、どのチームでも主力を張れるようになるはずだ。札幌には貴重な「熱さ」をピッチ内外で表現できる存在なだけに、金銭的な問題さえなければ残したかったが…。

DF#21 平岡康裕
 開幕当初は試合経験のなさを喧伝しているかのような挙動不審ぶりで、周囲から観客まですべてを不安に陥れていたが、何試合か出て、SBに移ると徐々に正確なフィードや攻撃力を生かせるようになり、安定感も増してきた。惜しむらくは故障が多過ぎたこと。能力の一端は見せたが、それをすべて発揮するにはもっとフィジカルが必要だろう。

DF#32 柴田慎吾
 ヨンセンや闘莉王と伍しても全く引けをとらなかった空中戦の強さは圧巻で、攻守においてチームの大きな武器となった。ポジショニングやフィードの精度など、課題も続々と出てきたが、それもストロングポイントがあって試合に出られたからこそ。それらを克服できれば、当分の間は最終ラインを任せられそうだ。

DF#35 箕輪義信
 実績に相応しい存在感を見せたが、故障であっという間に消えてしまった。リーダーとしての期待も大きいが、本当なら彼ぐらいの意識を持った選手が何人もいないと強いチームにはなれないはず。川崎と比べれば気苦労も絶えないとは思うが、J2から強豪に這い上がったメンタリティーをチームに行き渡らせてくれることに期待したい。

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2008シーズン総括(監督編)

 「ぶれない」といえば聞こえはいいが、現実には柔軟性を著しく欠いていただけだった。昨季からその傾向は見受けられたが、「使う」と決めたグループを動かそうとせず、その中でポジションを変更して対応しようとしたことで、ときには珍妙としか思えない起用も見られた。また、グループの中には監督以外は使う理由が説明できないような選手が入っていたため、それ以外の選手に不満が蓄積していったことは想像に難くない。まして、こんな内容のゲームが延々と続いているのだから、控え選手のモティヴェーションは高まっていたはずだ。それを蔑ろにするような形で同じ選手を使い続け、同じようなミスを繰り返して負け続けた。言わば崩壊していくチームを放置したに等しいやり方は、到底許容できるものではない。
 昨季のスランプ時にも同じようなことがあったが、あまりにもリスクを恐れ過ぎる。「守備力は低くてもビルドアップができる」選手や「体は小さくてもドリブル、ラストパスができる」選手など、ひとたび戦術にマッチしない、と判断された選手はほぼシーズンを通して埒外に置かれ続けた。こういった選手こそが流れを変える力になることは、古今東西、証明され尽くした事実だ。彼らがJ1のレベルにあったかどうか、が問題なのではない。何も変えようとしなかったことこそが問題なのだ。確かに頑張れる選手、フィジカルの強い選手は必要だが、それだけではフットボールは成立しない。全ての選手に同じ資質を求める発想自体に無理があった。「どれかが80点で、どれかが0点」の選手しか持ち合わせていない監督の取るべき手段ではなかった。
 守備とセットプレー重視、という戦略が間違っていた、とは言わない。ただ、その表現方法があまりにドラスティック過ぎはしなかったか。骨格を最優先したとしか思えない選手起用、当てもなく蹴るだけの「攻撃」…。フットボールに必要な要素を、あまりに小さく見積もり過ぎていたのではないか。今季のピッチ上に表れたモノは自分の意思とは違う、と言うかもしれないが、全く修正された跡が見られなかったことを見れば、それが彼のオーダーだったと考えざるを得ない。それでも結果が出ていればいいが、その方法で駄目だったのだから、考え方を多少なりとも変える必要があったのではないか。
 チーム・マネージメントも、上手くいかなかったようだ。例えば、鈴木は「あなたは員数合わせ要員ですよ」と宣告されたに等しい扱いを2年間にわたって受けており、それに対する不満がサテライトなどでのプレー態度に表れていた。本人に問題がなかった、と言うつもりはないが、もう少し扱い方はあったはずだ。崩壊状態のチームにこんな精神状態を表に出す選手が一人でも出てくれば、それはあっという間に「伝染」する。彼だけが特別だったとは思えない。一事が万事だ。監督だけの責任ではないにせよ、鈴木に近い状態に置かれた選手たちが、ケアもされずにストレスを溜め込みながら日々を過ごしていた、と考えれば、そのことがトップチームの一体感や責任感のなさに結びついていった、と考えることが論理的ではないとは思わない。誰がやる気を失った控え選手に対して危機感を抱くものか。「自分は18人に入っている」「自分はいくら頑張っても出られない」という2つのグループに分けてしまったことが、チームから緊張感を奪ったのは間違いないだろう。
 結局、監督としては未熟だった、ということだ。上手くいっているときは良くても、そうではない時は駄目、では長く仕事をすることはできない。例えばヴェンゲルは今シーズン、不満を公に口にしたキャプテンの選手を腐らせることなく、短い時間でチームを立て直してみせた。ファーガソンも、こういったクライシスを20数年の間に何度も乗り越えてきているだろう。昨季のレビューでも記したように、間違いなく仕事はできる人材のはずだ。サポーターとしては、このチームを踏み台にされるのは堪えられないことではあるが、次のチームでは、今季の教訓を生かして素晴らしいチームをつくり上げてほしい。

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2008シーズン総括(チーム編)

 開幕当初に何試合かあった、内容のいいゲームを取り切れなかったことが、選手から自信を奪い尽くしてしまった。その後はお決まりの負のスパイラル。自信を持てないから積極的になれないし、結果が出ないことがさらに闘争心を奪う。上向きかけた時期もあったが、そこでも結果を出せなかったことで、積み重なったストレス、モラルの低下を吹き飛ばすには至らなかった。
 それに加えて選手の質の低さは否定しようもない事実だった。技術については戦前から想像はついていたが、それでも(存在したかどうかは別にして)グループワークでカバーできないほどの差ではなかったはずだ。酷かったのは精神面だった。失点すればすぐ下を向き、取り返しに行こうとする気概すら見せない選手のなんと多かったことか。グループで、一丸となって戦って初めて勝負できる選手層しか持ち合わせていないチームに、これだけ心の弱い選手がいれば勝負になるはずもない。
 また、あまりにもアグレッシヴさを欠いていた。自分のゾーンさえ守っていれば試合に出られたのかもしれないが、FWが必死になって追いかけているのにラインを上げない。相手がまさにトップスピードに乗ろうとしているところで、一歩踏み出せばそれを止められるのに突っ立ったままで、挙げ句にあっさり抜かれる。人と人の間に入ってきた相手はお見合いしてフリー…。マイボール時の無為無策ぶりに至っては、もはや触れる気にもならない。
 これでは、自信喪失もさることながら、プレーヤーとして持っていなくてはならない判断力や本能を欠いていた、と判断するほかない。仮に(ゾーンから動かないことが)チームオーダーだったとしても、正常な判断さえできていれば、カバーリングでもサポートでもできることはあったはずだ。それを試みたクライトンやダヴィが孤立し続け、ストレスを蓄積し続けていったことが、今季の問題の根深さを物語っている。
 代々このチームは、「寄せ集め」の宿命か、いい時は良くても、悪い時はあっという間に瓦解する、という悪癖を持っている。今季などはまさにその典型だった。そろそろ、こんな伝統にはおさらばしなくてはならない。まずはどんな状況にも揺るがないチームスピリットを個々が身につけ、ファイティングポーズを取り続けられる集団になる必要がある。全員が己のメンタルの弱さを痛感しているであろう今こそ、札幌というチームがプロフェッショナルのメンタリティーを得る大きなチャンスだと捉えるべきかもしれない。また、それを近いうちに果たせなければ、このチームに未来はない。新シーズンは、その姿勢だけでも我々観客を満足させられるようなチームになってほしい。それが結果にもつながるはずだ。

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2008J1#34 札幌0-1鹿島@札幌ドーム

 フットボールに必要なのは、プレーヴィジョンとテクニックである、ということがあらためて証明されたゲームだった。上里や西がボールを失わず、適切なタイミングでボールをさばいている間は互角以上の戦いができていた。彼らはここまで出ていた選手たちとは違い、ダヴィ以外も見えていた。見えていれば出せるし、出てくるなら動く。感性が共有できて、ある程度の技術がある選手を並べればこれぐらいはできるのだ。安定したポゼッションこそが有効な守備である、という考え方をしなかったことが今季の大きな敗因である、とも感じさせた。
 それでも点が取れなかったのは、ひとえにボックス内の人数が少な過ぎたから。サイドを崩してもほとんどがダヴィ1枚で、他の選手が入ってきても、タイミングが遅過ぎた。彼に頼るのは勝手だが、彼に点を取らせたいのならお任せでいいはずはない。特定の選手への依存心の強さ、というのはこのチームが代々抱えている問題だ。前線の外国人に大枚を投じることができるクラブならそれでいいのかもしれないが、札幌のようなチームが生き残っていくためには、チームとして崩す、チームとして得点する、ということを考えていかなくてはならない。その点では大きな課題を積み残した。何せ今季は適当に蹴っていただけのチームだ。新監督は、1どころがマイナスから構築することになるだろう。それがどの時点でプラスに、武器になるレベルに到達するかによって来季の結果は左右されるかもしれない。
 最終ラインの不安定さについては、もはや触れるべき材料には触れ尽くしたはずだ。ゾーンに固執して人を見失い、互助精神の欠如も著しい。足元の不安定さも特筆すべきレベルで、彼らが蹴ったボールはほとんど、次の瞬間にはカウンターとなって自分たちのところに戻ってくる。これで失点せずに済ませようとするには、世界最高級の守備力を持った選手が何人揃っていても足りないだろう。結局、一番大事なのは何か、をシーズンを通して見失っていたということだ。
 「やっと終わった」―。こう感じさせるようなシーズンを、二度と繰り返してはならない。今季のチームが、「全力」だの「執念」だのという台詞からも最も縁遠い集団であったことは観客が一番よく知っている。自信がなかろうが何だろうが、まず戦わなくてはならない。フロントも現場も、そこから出直す必要がある。

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2008J1#33 名古屋3-1札幌@瑞穂陸上競技場

 立ち上がりは、明確な目標があって一丸となっているチームと、その正反対のチームの差がはっきり表れた。後者は下らないミスを繰り返し、勝利への意欲を前面に押し出して入った前者は、勢いそのままに、普段蹴らない選手のFKが最高のところに吸い込まれる。
 途中からは札幌もチャンスをつくれるようになったが、それは上里や西、藤田がボールを引き出して動く、という至極当たり前のことを繰り返した結果。名古屋の選手はほぼ全員がやっていたが、札幌の選手はこの3人ぐらいで、ほかの選手は何かプレーしたら足を止めるばかり。ボールを失っても追いかけようとしないなど、「切り替え」という概念が頭にないかのようだった。2失点目もその差だ。ボールを見物していた札幌の選手と、足を止めなかった名古屋の選手。その差ががチャンスの差だし、クオリティの差、ということになる。スターティング・フォーメーションは同じはずなのに、流動性、相互補完性の高さには雲泥の差があった。選手の差だけではない。この2年間の方法論自体が不毛極まりないものだった、ということを、図らずも相手が証明してくれたのではないか。
 ただ、遅きに失したとはいえ、自分の判断でそれを壊そうとする選手が出てきたこと自体は評価できる。このことが指示を守ることに汲々とする者ばかり重用されてきたチームに風を吹き込み、本来フットボールがあるべき姿に回帰するきっかけになればいい。

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2008J1#32 東京V1-1札幌@味の素スタジアム

 何もしなければ、何かが起こるはずもない。ゲームが動くとすればミスだったが、浜の真砂ほどあったミスも、この20人は生かすことができなかった。
 もっともそれ以前に、目の前で繰り広げられた不調和の極みのようなマスゲームに、何と名付けるか考えるべきかもしれない。Jリーグだとか名乗っているようだが、その言葉が意味するものと異なる代物であったことだけは、間違いないが…。

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2008J1#31 札幌1-2浦和@札幌ドーム

 フットボールではないモノに四の五の言っても仕方ないが、フィールドの20人の意図がこれだけバラバラな代物にお目にかかることはそうあることではない。共通していたのは「神頼み」という1点のみ。こんなのに勝って大喜びするのは、フットボールを愛する者からすれば相当に悲しい方々だとしか思えないが、勝てない方は惨めなだけではある。
 もっとも、惨めな側から見れば、いつも通りのゲームではあった。偶然で得点し、下らないミスで失点する。それだけだ。天皇杯の横浜M戦同様、戦っている選手は何人かいたが、芝生の上での散歩を決め込んでいる者もいた。まあ、勝負以外の方向を向いていたり、同じミスを何度も繰り返すような人間がゴロゴロいる、プロフェッショナルを名乗るにはあまりに未熟な連中に多くを求める方が間違っているのは確かだ。札幌というチームが、運営会社から観客までそのレベルだ、ということをあらためて証明したにすぎない。
 ともあれ、来季は新しい体制で戦う、ということがやっと確定した。このことが新たなモチヴェーションになる選手は数多くいるだろう。新しいボスが見ているのは、ゲームだけではないはずだ。次のチームの中で、自分の居場所を確保するべくアピールしてほしい。それが残り3試合の内容、ひいては来季につながるはずだ。

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第88回天皇杯4回戦 横浜M1-0札幌@ニッパツ三ッ沢球技場

 双方ともに何をするでもなく、90分を過ごした。札幌についていえばプレーしようという気持ちこそ見えたが、グループでボールを運ぶことひとつを取っても、選手は何をすればいいのか忘れてしまっているようだった。主体性のない、受けるだけのゲームを2年間強いられ続ければ致し方ないことではあるが、攻守において自分で判断してゾーンから飛び出せないのでは、フットボールになるはずもない。
 そんな中でも、ひたすらインターセプトを狙い続けた西、トップに絡むべく、マイボールになるや内寄りでプレーした砂川ら、何人かからは現在の状況を打破しなければいけない、という思いが見えただけに、余計にピッチから伝わってくる選手間の温度差に歯がゆさが募った。
 次からは、もっと多くの選手が同じことを思い、実行に移さなくてはならない。他のことに気持ちが向いている者もいるようだが、そんな奴らは無視しても構わない。何をしようが、内容と結果が伴えば誰も文句はつけられない。球を蹴るのは自分たちだ、ということを思い出せれば、それだけでも来季へ踏み出す一歩となるはずだ。

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2008J1#30 川崎3-1札幌@等々力陸上競技場

 まさに、無気力試合。白いジャージはほとんどの時間帯で何もせず突っ立っているだけだった。目に付いたのは川崎の外国人のコンビネーションの良好さと、ゲームに対する姿勢の素晴らしさばかり。彼らにしてみれば、カラーコーン相手に戦術練習をしているのとそう変わらない感覚でできたはずで、普段通りの決定力があれば、Jリーグ史上に残る空前絶後の得点記録を樹立できたはずだ。
 すべき仕事を怠ったせいで2失点に絡んだクライトンが、あたかも自分のせいではないかのように怒りをあらわにしていた場面を引くまでもなく、この集団がチームとして崩壊していることは明らかだ。それでも1個のプレーヤーとしてできることはあるはずだ。ボールに働きかける、味方を助けるために走る…。そういったことを何一つしなかったのだから、こんな連中にプロを名乗ってピッチに立つ資格はない。試合後に起こった拍手は、彼らの選手生命が終焉を迎えつつあることに対する労いだったのだろう。
 これでも、現在の監督は「ベストメンバー」とか口走るのか。このメンバーが「ベスト」などではないことは数カ月前から証明され尽くしている。わけのわからない屁理屈の下に、無気力極まりない、エンターテインメントとは程遠いものをこれからも見せ続けるつもりなら、入場料はすべて返却すべきだ。観客だって、いつまでも黙ってばかりではない。

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