2013J1#27 鳥栖0-2広島@ベストアメニティスタジアム

 ボールを受ける青山や高萩、出しどころの最終ラインにまったくプレッシャーがなかったことで、広島にとっては楽な前半になった。その分深い位置の守備は厚いので佐藤や石原がいい形で受けられず、決定機自体が多かったわけではないが、完全に支配していて佐藤のような選手がいれば、1点ぐらいは入る。鳥栖は相手が3バックであることで、あえて豊田を使わずに野田とキムの左サイドのコンビネーションを狙っていたようだが、それ一辺倒では相手も読み易い。中央に入らないから飛び出しも使えていなかったし、八方塞がりといっていい状況だった。
 さすがにハーフタイムを経て鳥栖がプレスの位置と強度を上げてきたことで今度は広島が手詰まりになり、セカンドボールは殆ど鳥栖が支配できるようになったが、その先のアイディアやダイナミズムが決定的に不足していた。ワンパターンのサイドアタックとクロスではCB3枚を攻略するのは難しい。
 広島も前線のモビリティーを欠き、中盤を経由する以外のビルドアップの選択肢を後ろに提示できなかったことで無駄に苦しんだ印象は否めない。相手のラインが上がっているのだから、もっと石原や高萩に縦の動きが必要だったし、せめてサイドが引き出して時間をつくることを試みるべきだった。皮肉にも、最後になってそういった動きの有効性が証明されたではないか。
 それでも、ボールの位置や状況によってめまぐるしく、しかも機能的に変化するフォーメーションや、過剰な個人技を必要としないサポートなど、トップカテゴリーの強豪たる所以は存分に見せてもらった。トランジションやインテンシティーが幅を利かせている中、質の高いプレーをすることの重要性を見せ付けたといえよう。

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2013J1#11 仙台2-1大宮@ユアテックスタジアム仙台

 アプローチ、ネガティブ・トランジション、のちリトリート。この3語で言い表せる。つまるところ、互いに負けないことしか考えていなかった。前後半ともに同じような展開で、違ったのは前半に引いていたのが大宮、後半が仙台だったところだけ。引くなら引くでドルトムントばりの強烈なコレクティブ・カウンターでも繰り出すのならともかく、ただ前に蹴るかノロノロ繋いでサイドに逃げるばかりで偶然が起こることに期待するだけ。攻撃陣がいないレアル・マドリーの紅白戦でも見ているようだった。
 2度の偶然をモノにしてリードした仙台はともかく、大宮に何の芸もなかったのは不可解だった。ポジションチェンジもフォローもないスタティックな展開を延々と続けるだけで、しまいには、絞って受けてオーバーラップを促したり効果的なパスを配給するなど最も効果的だった渡辺を代えて放り込みに走る始末。このゲームを見ただけでは、このチームがここまで負けなかったのは単に相手の質が低かったからだと考えざるを得ない。守備の意識は徹底されているが、攻撃の連動性や意思疎通が皆無だったからだ。21試合?それがJリーグのレベル、ということか…。

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2012J1#28 清水1-0磐田@静岡スタジアムエコパ

 清水のアタッカーに課されたタスクは、ゴールを狙うことではなかった。ターゲットはサックスブルーの7番。相手のCBがボールを持てば執拗に小林裕へのパスコースを潰し、彼に渡れば囲い込んで前を向かせない。味方にすら信用されていないロドリゴ・ソウトのタッチ数が増えてくればしめたもの。小林が本当にピッチから姿を消した頃には磐田のビルドアップは完膚なきまでに破壊されていた。攻撃手としての働きこそ数えるほどだったが、開始からタイムアップまで寸秒たりとも気を抜くことなくチームが勝つためのミッションを完遂したのだから、彼らは大きな拍手を送られてしかるべきだ。
 ゴドビという監督は相手を見て戦術的にプレーさせることに長けているようだ。だから何をやっているのか分からない相手と対戦すると清水もよく分からない内容になってしまったのかもしれない。
 組み立ての起点を消された磐田は選手もベンチも経験不足を露呈した。まずフォローが少な過ぎる。2列目の3人がもっと流動的に動いて小林の負担を減らす必要があった。ベンチが打った策もリズムを生み出すことは望めないロドリゴを最終ラインの前に置く、というもので、彼が受けて攻撃がノッキングを繰り返す状態は変わらずじまい。その前に並べた小林や山田に受けさせたいのなら、(選手だけではどうしようもない現状では)明確な指示が必要だったのではないか。
 理想か現実か。このゲームは後者を厳しく突き詰めた方に凱歌が上がったが、それを超えるためにプレーの質を上げてこそフットボールは前に進む。磐田が目指しているものは明確だ。「現実」を打ち破る日が来ることに期待したい。

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2012J1#27 F東京2-1磐田@味の素スタジアム

 東京は前半、相手のコンパクトなゾーンを前に足元で回すばかりで、最後の方はルーカスに預けて何とかしてもらおう、といった風情。後半に必要なのは足を使うこと、のはずだった。ところがポポヴィッチの選択は前線の外国人を増やしてゴリ押しの度を増す、というもの。まさか、あまりの出来の悪さにヤケを起こしたわけでもあるまいから、もろもろのコンディションまで計算し尽くした上での策だったのだろう。実際、内容は改善されなかったが結果はついてきたのだから、このゲームに関しては正解だった、ということになる。もっとも毎度通用する手でもないので、日々のトレーニングでベースを再確認していくことになるだろう。
 磐田は重心を守備に置きながらも、小林裕や山田、松浦といったあたりがゾーンの間に常に顔を出して受けていたのでビルドアップから展開までは非常にスムーズ。山田が絞り気味な分、前が空いた駒野が頻繁に上がるなどオートマティズムでは明らかに上回っていた。ただ、松浦が動き回ったことで前田の周囲に人数が足りないことが多く、この最大の武器を生かしきれなかったことが悔やまれる。得点シーンのように、菅沼実をはじめとした後列の選手が裏に入っていく回数を増やせれば前田も空きやすくなるし、より脅威は増すはずだ。
 優位な時間帯をモノにできなければ風向きが変わるのはフットボールの常。暑さで足が止まり、最終的には能力で上回る東京のアタッカー陣に対して最終ラインが耐えきれなかった。もったいないゲームにはなったが、目指すものの形は十分に見えた。正しい道に歩を進めているのは間違いないようだ。

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なでしこリーグ2012#8 スペランツァFC大阪高槻0-2日テレ・ベレーザ@帯広の森陸上競技場

 [4-1-4-1]の形で低い位置にブロックをつくってきた高槻に対し、ベレーザはキープこそできるものの、縦パスを入れても常にストッパーとアンカーにトップが挟まれる形でなかなかポイントができず、また後ろで持っている時に前に4人いる形を取っていたが、その4人が相手の守備者の傍からまったく動かず、ボールを引き出す動きをしなかったことでむしろ高槻の最終ラインに守備の基点を与えているような状態。ベレーザのベンチが早々に小林を投入し、修正を図ったのは当然かつ適切だった。
 小林はまさに「生きた手本」。中盤に引いたり裏に出たり、幅広く動いてボールを受ける動きをすることで、伊藤、原ら周囲の流動性まで引き出した。もちろん、小林の動きに対応してそういうプレーができるのは彼女たちのインテリジェンスの高さの証。ベンチがいくらケツを叩いても、できる頭がなければそんな芸当はできない。
 それでも、高槻はクロスに好対応を見せていた奥田、両ストッパーの前で巧みにパスコースを消し続けた亀岡を中心に支配されこそすれ、決定機は与えていなかっただけに、横パスのミスから先制点を失ったのは痛かった。攻撃面では左SB浜田の突破や、2列目からの飛び出しなど、ところどころに見るべきものこそあったが、あくまで個人による単発で、例えば浜田が上がれば左SHの丸山はステイ。トップの選手は孤立し続けていたし、スコアが動いてもなお、守備時に穴をつくらないことを最優先していたのは明らかだった。戦略的にどう攻めるのかまでは手が回らなかったか。
 ゲーム中に色々なポジションに回っても破綻なくこなせる戦術能力の高さや、個々の技術力。規律を遵守する姿勢も印象的だった。「世界一」の代表チームを持つ国のリーグにふさわしいものを見せてもらった。

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2012J2#10 町田0-1松本@町田市立陸上競技場

*全般に22人が来たボールに反応しているだけで、あまりグループとしてどうプレーするか、という意識は見られなかった。どんな方法論であれ、最低限のコンビネーションは必要なのだから、眠気を催すようなゲームになったのも当然か。

*5バック、長身FWへのロングボール、拾えれば攻める―。戦力に乏しいチームのやり口を極端に単純化したかのような松本。「結果」が求められることを考えれば致し方ない部分はあろうが、志なきところに未来を見出すのは難しい。

*町田はサイドを使いたいのはわかるが、サイドにしかボールが回っていない。相手が後ろで固まって待ち構えていたので持つことはできたが、フォローも外に偏ったことでブロックを動かせなかった。誰かが中央でCBの前に顔を出してあげれば、崩しのルートを増やせたのではないか。

*チームが連動することによって、ラストパスを出せる状況まではオートマティックにつくれるはず。アウトサイド1人で何とかしてもらおう、というのはバルサやマドリーでもなかなかしない発想だが、サイドに限らずそういったやり方がメッシもクリスティアーノ・ロナウドもいないはずの極東の2部レベルでよく見られるのは面妖なことではある。

*もっとも、コンセプトやディシプリンが存在するだけマシ、という気もするが…。

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2010J1#25 鹿島1-1清水@カシマスタジアム

*ビルドアップ不在。ピッチコンディションを考慮したのかもしれないが、清水はファーストチョイスがトップ、ということを意識し過ぎてロングボール一辺倒になり、ヨンセンのミスが多かったこともあって枝村を完全に殺してしまった。このクラスのチームでもハーフタイムを経ないと修正が為されないのは、日本のフットボーラーのレベルが上がっていないことを示している。また、相手ボール時に中盤が下がり過ぎて2ラインがキープできない場面も目立った。勝てていないことで、メンタルが後ろ向きになっているのだろうか。

*鹿島も出来の悪いラグビーのようにともかく蹴りこんで殺到するばかり。前半は何も起こせなかったし、相手の足が止まった後半は攻め込むことはできたが、裏がガラ空きになり、危険なカウンターを何本も浴びた。メリハリの利いたゲームコントロールを持ち味にするチームにしては意思統一が感じられず(上がってボールを失った挙げ句に追いかけすらしない選手までいた)、アタッキング・サードでも即興に頼るばかり。グループワークで相手の注意を散らせていないから、最後の局面でブロックに遭い続けた、という側面もあろう。ラスト5分間は質の高いパス&ムーヴで圧倒しただけに、目覚めるのが遅過ぎた。

*清水ベンチが後半早々に兵働を下げたのは、彼がやっていた前目の仕事を(前半は守備時にボランチのラインに下がっていた)小野に任せて、彼の負担を減らそうとしたのだろうが、兵働は後半開始からの十数分間、何もしていなかった前半とは人が変わったようにボールに関与し、いい縦パスを何本も供給していた。この交代から清水は流れを失ったのだがら、ベンチのミスだと判断するしかない。理想を言えば、本田のところでリズムをつくれれば小野や兵働が頻繁に下がる必要もなくなるが、残念ながら判断が悪く、テクニックも凡庸。守備面ではタスクにステディで優秀だが、ボールを持った時の質を上げていかないと代表にも残れないだろう。

*頭上をボールが行き来する展開でも、小野はいるべきところには必ず顔を出していた。中盤で触れなければ、シャドーストライカーとしてヨンセンと岡崎の間に飛び込んでみたり、裏でもらおうとしたり。味方が困っていれば必ずヘルプに現れ、ボールを引き出す。パス&ムーヴも怠らない。絶対量が多いわけではなくても、どう走ればいいか、彼はよく知っている。とかく量に偏りがちな日本の中盤の選手にとっては、最高の教科書だろう。素晴らしいパスを出しても平然と次のプレーに移る姿は、自己満足でプレーを止める某選手にぜひとも見習ってほしいものだ。

*落ち着きのないゲームではあったが、インテンシティーが高く、普段見慣れた目を覆うようなミスがないのでゲームも切れないし、ダレた時間もほとんどない。あっという間に時間が過ぎた。これがJ1トップレベルとJ2ボトムレベルの差なのだ。彼らに比べれば、札幌の選手が何から何まで甘いことは明白だ。心の底からそれを自覚し、克服に全てを捧げるぐらいの覚悟を持ってもらわないと、昇格、残留なんて夢のまた夢だ。

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東アジアサッカー選手権2010決勝大会 日本1-3韓国@国立競技場

 これは、世界を驚かせるに違いない。横パスだけで相手を攻略しようという、フットボール史上、例を見ない斬新な発想がだ。ラスト20メートルまでバルサの真似ごとをするぐらい、コンサドーレだってできる。そこからアジアレベルでも戦えないアタッカーしか持たないチームがどうゴールチャンスを生み出すかが、世界でコンペティティヴなポジションを得ることににつながるのではないのか。この方法を30年ぐらい続けて、メッシやイブラヒモヴィッチのようなアタッカーが突然変異のように現れることを期待する、というのならまだ理解できないでもないが、4カ月後に何ができるか、と考えると絶望的だ。
 トップが降りてきてボール回しに参加すること自体は悪くない。ただ、彼が空けたスペースに誰も出て行かなければ、ボックス内は常に1人。しかも、それが岡崎か玉田。であれば、どんなラストパスを送ればゴールにつながるのか。回すだけ回しているうちに、スペースはほとんどなくなっている。そうなると、電子顕微鏡が必要になるほどの精度が要求される。フリーでもパスがずれる日本人に、今からそれを求めるのは無理というものだ。しかも、誰も仕掛けようとしないから、スペースが生まれることも期待できない。チームとしてどういう形で、どう点を取ろうとしているのかが全く見えてこないし、個々がどうすればスコアできるのか、ということを考えていないからワンパターンの動きしかせず、同じように弾き返されるのだ。俊輔や長谷部がいない、というのは言い訳にならない。彼らが生み出せる違いなんて、インターナショナル・レベルで見れば微々たるものにすぎないからだ。トップクラスの選手を集めたはずの代表がこれでは、札幌に文句を言えなくなる。大して変わらないんだから。
 ただ、監督は我々の方が優秀なようだ。早い段階でアクシデントで1枚交代カードを失ったことは不運だったが、1人減った後半開始から唯一仕掛けられそうな香川を削って4バックを維持する形にして、何をしたかったのか。点を取らなければならないのにサイドバックは出て行かないし、中盤も回しているだけ。相手も1人減って、やっとSBを押し出す形になったが、今度は真ん中が4枚揃えてブロックをつくった相手に対して数的不利になって何もできなくなる。挙げ句の果てに、チャンスすらつくれない状況で切ったカードが佐藤。時間を見ればコンディション調整ではないことは明らかだ。ボール回しにも加われないし、仕事をするゾーンも重なる彼と岡崎の2枚で決定機をつくる方法があるのなら、教えてほしいものだ。仮にリッピがインザーギを2人持っていたとしても、この状況で同時に使うことはないだろう。
 ポゼッションとコンビネーションで崩す、という理想を追うのは美しいことだが、現在のフットボール・シーンでそれを許されるのは、テクニックとディシプリンを兼ね備えた選手を数多く持つ(つくり上げた)グアルディオラと、同じ選手を配下に持てるデル・ボスケぐらいだろう。そんな人材は持ち合わせていない日本がこのゲームの状況を打開しようとするのなら、平山を投入して、当てたセカンドボールを狙うのが最も現実的な選択だったはずだ。仮にデンマークを相手に同じシチュエーションになっても(最終ラインの人材や戦術の質の低さを見れば、その可能性は十二分にある)、岡田氏は同じカードを切るのだろうか。
 4年前と比べれば、チームコンセプトがあるだけ随分マシだが、それを表現できて(させられて)いないのでは結果はそう変わるまい。それが嫌なら、JFAはヒディンク氏の招聘に全財産を投入するか、不老長寿の薬を開発してオシム氏を呼び戻すことに全力を傾注すべきかもしれない。今の監督が4カ月後に歓喜をもたらせるか、となると、引き攣った薄笑いを浮かべるしかない。

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2009J2#6 鳥栖4-3湘南@ベストアメニティスタジアム

*未婚女性がいっぱい-。こんなアホな駄洒落を口にしたくなるほどの、ミスのオンパレード。いくら2部だといっても、フリーで蹴りたいところに蹴れないのでは、プロであること自体を疑わざるを得ない。チャレンジがないイージーミスの連続では、試合が緩むのも理の当然。

*前向きにプレーしようとした方が勝ったのは、フットボールにとって喜ばしいことだ。裏返せば、負けた方は相手のミス待ちで、個人技に頼るばかり。勝ち越せば下がるだけ、リードされればロングボールを放り込んでスクランブルでのハプニングを期待するばかり、とあっては、将来は見えない。

*実に日本人的なゲーム。得点は前半の13分間、後半の14分間に集中している。先に取った方がなぜか慌てて、前に出てくる相手にお付き合いしてラインを下げて、スペースを与えたり低い位置で下らないミスをしたりして相手に決定機を与えてしまう。それで失点すれば下を向いて、あっという間に次の失点。精神状態がゲームに反映され過ぎる。ヨーロッパのチームなら、誰ともなくボールをキープして、ゲームをスローダウンさせようとするはずだ。札幌のゲームレヴューでも書いたが、ゲームコントロールの意識があまりに低い。

*他所のチーム状況まで把握しているわけではないが、廣瀬が引いて受けるタスクを担っていたのは理解できない。サポートも薄いし、相方の池田との連動性も高かったとはいえない。ましてマッチアップはジャーンだ。勝算が高いとは思えない。最終ラインからのビルドアップを志すのはいいが、湘南の守備がリトリート一辺倒で、鳥栖の前線の動き出しの遅さ、まずサイドにつけるのか前に当てるのか、などの選択肢の整理のされていなさを考えれば、札幌戦でやったように、廣瀬に徹底して裏を狙わせる選択肢もあったのではないか。これも日本的な現象ではあるが、ベンチの指示には忠実でも、選手が自分で考えてプレーを選択しているようには見えない。いずこも同じ、といえばそうだが…。

*鳥栖は3点目を失ってからやっと、低過ぎた高橋と高地のポジションを上げてプレーするようになってリズムをつかんだ。センターハーフの彼らがボールを取りにいかず、最終ラインに吸収されていたことでディフェンスが後手に回り、ビルドアップの起点が下がったことが苦しいゲームになった原因だった。高い位置でのハイプレッシャーを旨とするチームがそれをできなければどうなるか。もっと早い時間帯からチームコンセプトを発揮できていれば、もっと楽にゲームを運べたはずだ。相手がどう出ようと、自分たちの狙いを表現することの重要性。札幌にとってもいい教訓となるゲームだったのではないか。

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高円宮杯第20回全日本ユースサッカー選手権大会決勝トーナメント ラウンド16:札幌U-15 3-1 桐蔭学園中学校

*これぞ、フットボール。トップの大人たちがやろうとすらしなかったことを、中学生が事も無げにやってのける。特に前半立ち上がりの、徹底してグラウンダーでつないで波状攻撃を仕掛けるさまは、EUROのスペインすら想起させた。

*もちろん、課題も見えた。前半は相手が愚直なまでにキック&ラッシュを仕掛けてきたことでゲームを落ち着かせることがができず、内容で圧倒しながら不必要に押し込まれてやらずもがなの失点をしてしまった。こういった状況では相手の出方を見極めてゲームを運ぶことも必要になってくる。特に荒野は、ポジションを考えても持っている技術や戦術眼を考えても、もっと積極的にゲームに関与する必要があった。ただ、後半はベンチの適切なポジションチェンジもあり、全員が動いてボールを動かし、ゲームを完全に支配するに至った。これが自分たちの判断でできるようになれば、もっといいチームになれる。

*足元の技術に自信があるせいか、ボールを受けるための動き出しが悪いので意図があるプレーが出ても形にならないことが多く、雑なプレーも目立った。顔の出し方や受ける時の体の使い方、視野の確保の仕方を覚えれば、よりレベルアップできるはずだ。それでも、数名の質と量を兼ね備えた選手がそれを十分にカバーしており、後半にはそのことを感じ取ったほかの選手もアグレッシヴさを増してきたあたり、日ごろの指導の適切さ、選手の意識の高さが窺い知れる。いくら打っても入らなかったFWが、それでも体を張って起点をつくり、サイドに流れてチャンスメークをしていたのはその好例。こういった選手にこそ、福音はもたらされるはずだ。

*常に首を振って状況を確認し、自分が持っても人が持っても適切な判断ができる選手、正確な技術をエリアへの飛び出しで生かせる選手、サイドでもセンターでも持ち味を発揮できる選手…。それ以外の選手も質と量を兼ね備えており、U-18に誰を上げるか困るぐらいの粒揃い。彼らがトップで主軸を張る日が来るのが楽しみになる、そんなゲームだった。課題を克服しながら、ぜひ順調に伸びてきてほしいものだ。そうなればこのチームの未来は明るい。

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