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EURO2012 Semi-finals(6/28)

Italy 2-1 Germany
 レーヴが策に溺れた、と言うほかない。クロースが動き回ってポジションチェンジを誘発することでスピードやポジショニングに難のあるキエッリーニを攪乱しよう、という意図があっての起用だったのだろうが、あまりに彼が元の場所にいな過ぎたことでエジルが右に出っ放しになり、中央で受けられる選手が誰もいなくなってリズムをつくることができなかった。また守備面でも誰が戻るのか明確ではないから、ボアテンクが1人で見る形になった右サイドをカッサーノに自由に使われ、失点をも招くことになった。追う状況になると、ゲームコントロールの拙さがまた顔を覗かせる。彼我の力量、コンディションの差、時間帯。どれをとっても焦る理由などないのに単調な放り込みに終始し、守備は疎かになる。出し手も受け手もマークすることなく、カウンターとすら言えないような形で失った2点目が、彼らの精神状態を象徴していた。
 最も質の高いプレーをしたのがドイツであることは間違いない。ただ、自分たちから崩れる場面も多く、ベンチが選手を動かし過ぎてそれを助長した側面もあった。2年後、4年後も視野に入れてのことだろうが、メンタリティーやゲーム運びなど、勝たなければ身につかない強さもあるはずだ。多くのチームが過渡期にあった今大会は、それを手に入れる絶好のチャンスだったはずだが…。
 コンディションに不安があってもペース配分より自分たちのプレーをすることを優先して入り、動けるうちに相手の混乱に乗じて得点。交代策も先手、先手を打って守備を固めながら選手を休ませられた。イタリアにとっては、理想的な展開だった。もっとも、コンパクトな中ではボールをうまく回せていなかったし、ファイナル・サードの人数が足りないのも(途中から必要がなくなったとはいえ)変わっていない。今のスペインから得点するのは困難を極めるはずだが、正々堂々と戦えば何が起きるかわからないことはこのゲームで証明してみせた。積み上げてきたものを出し切ってぶつかっていくほかないだろう。

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EURO2012 Semi-finals(6/27)

Spain 0-0(4-2 on penalties) Portugal
 ポルトガルは前から積極的に奪いにいき、それを90分以上続けられたことで攻め込まれる時間帯を最小限に抑えることに成功した。ただ、R・メイレレスやモウティーニョがプレスに忙殺されたため、カウンターを仕掛けたくても攻め手はC・ロナウドの単独突破がメインにならざるを得ず、アウメイダもゴール前での視野の狭さ、落ち着きのなさを露呈するばかりで、狙い通りのゲームを遂行できた割に決定機は多くなかった。相手に合わせてプレーすることの限界を示した、とも言える。今大会を戦ってきた中で形になりつつある、中盤の攻守にわたるハードワークを基盤としたアグレッシヴなプレースタイルを突き詰めていけば、自分たちが主導権を握れるようにもなっていくだろう。
 日程の不利もあったか、足が動かずボールも動かない。普段なら2つ先に出るパスが1つ目にしか出せなければ、プレスの餌食になるのも当然だった。それでもスペインが連覇への挑戦権を得たのは、個々がマークやカバーを怠らず、ミスを連続させなかったことでピンチの芽を大きくしなかったからだ。華麗さの皮をめくったところにある、この忠実さこそが王者の強さの本質かもしれない。決勝に向けては、まずコンディションを回復させること。体さえ動けば、いつものパフォーマンスを取り戻せるはずだ。

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EURO2012 Quarter-finals(6/24)

Italy 0-0(4-2 on penalties) England
 デ・ロッシやモントリーヴォがピルロの前後左右に降りてきて補助する形にビルドアップを修正してきたイタリアは、相手がボールを放棄したことも相まって当然のようにゲームを支配する。ただ、バイタルエリアまでは運べてもマルキージオやノチェリーノに追い越して裏を突く意識が乏しく、カッサーノは自分勝手に可能性の低いシュートを放ち続けるだけで、多くの時間帯はブロックの外側で回すばかりだった。前が空いていたことで両サイドバックはよく攻めに参加したが、クロスを入れてもテリーとレスコットが構える中央で勝てる選手はそういない。偶発的なチャンスしかなかったのは、決して不運などではない。そしてドイツは彼らが目指しているものをほとんど持ち合わせている。日程の不利もあるし、まともにぶつかってもまず勝ち目はあるまい。中盤でプレッシャーをかけ続けた上で、スペインにしたように穴を徹底的に突く策を用意できるか。
 エンブレムのライオンをバスに描き換えた方がいいぐらい、恥も外聞もなく中央を10人で固めて守り倒すことを選択したイングランド。390分間、両ストッパー以外に本来すべき仕事をした選手が誰もいなかったのだから、ネガティヴな印象しか残さなかった敗退も受け入れるほかあるまい。ここ数年、人材がいないわけではないのに、人垣を築く以外のチームとしての意図が見えないままだ。ドイツやイタリアのような抜本的な改革を図る時期をとっくに迎えているはずなのに、「母国」のプライドとやらが邪魔でもしているのだろうか。

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EURO2012 Quarter-finals(6/23)

Spain 2-0 France
 スペインは終始中盤のスペースを徹底的に消されたが、早い時間にシャビ・アロンソの飛び出しという予想外のオプションを繰り出して先制すると、無理せず回してゲームをコントロールし、アタッカーにボールが渡っても素早く圧力をかけプレーすることすら許さない。相手が攻撃的な選手を入れてくるのを見計らって裏に走れるペドロとフェルナンド・トーレスでラインを上げさせなかった交代策も適切だった。今までの彼らなら下らないミスから失点して自壊しかねないような緊張感のあるゲームを、集中を切らさず勝ち切ったところに4年間積み重ねてきた勝者のメンタリティーが根付いていることが見て取れた。これだけ対策されても結果を残し続け、まだ手の内を見せ切っていない底の深さ。やはり、本命はラ・ロハか。
 フランスは何もさせてもらえなかった。コンパクトに保った中盤で奪ってカウンター、という狙いは明確だったが攻めの人数が足りず、リベリは常に囲まれ、ベンゼマは孤立。周囲の選手は下手に出ていけば裏をやられる、という怖さに足を止められていたかのようだった。攻めに出なければならない終盤にはボールを追いかけ回し続けた足が止まり、ポジションに立っているのが精一杯、というありさま。圧倒的な差を実感することとなった。それでも、これが彼らの目指す形ではあるまい。大会を通して「工事中」という印象で、コンビネーションの拙さが目立ったが、若いタレントが顔を揃えるスカッドは魅力十分。もっと試合をこなして熟成していけば、スペインの域に足を踏み入れる可能性すら感じさせた。前向きな気持ちでウクライナを後にできるのではないか。

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