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EURO2012 Group stage#7(6/14)

Italy 1-1 Croatia
 やはり違う顔を見せたイタリア。2トップのコンビネーション、後列との関連性が格段に上がり、FWが下がったり開いたりすればマルキージオやピルロが前に出るし、最終ラインも積極的に攻撃に関与する姿勢を見せた。ただ、スペイン戦ほどピルロが自由にさせてもらえなかったことで前線への有効なパスが少なく、決定機自体は数えるほど。数的不利を執拗に突かれたアウトサイドが出ていけない時間帯が長かったことも影響した。より攻守に質が高くなるこれからの相手を考えれば、形を変えることも考慮すべきかもしれない。
 クロアチアは前半、サイドアタックから2トップ、という形で何度も好機があったのに、後半から前を減らしたことで的がなくなり、両サイドも前線に関与しようという姿勢が薄かったことで停滞を招いた。それでも相手のミス絡みで追いつくあたりは引き続き運があるようだが、次はスペイン。イタリアの経過とも駆け引きをしなければならない状況になるが、まず目の前の相手にどれだけ対処できるか。

Spain 4-0 Republic of Ireland
 うーん、フェルナンド・トーレス…。デルボスケにしてみれば、2点取ったんだから万々歳、といったところだろうが、裏に走る以外のことはほとんどせず、受け方ひとつとっても周囲のリズムと合っていない(感じる能力が足りない?)からボールを失いまくる。アイルランドにとって最も頼りになる「ディフェンダー」だと言ってもいいぐらいだった。確かに冬あたりからフィジカルコンディションは戻ってきているが、根本的にプレースタイルがこのチームに合わない、という問題もまた戻ってきてしまった。現状では疲れてきた相手を揺さぶるための途中起用でしか使い道はあるまい。指揮官は2年前の過ちをまた繰り返すのか。
 内容、結果については技術力、組織力の差を考えれば妥当なところだろう。あまりの実力差に気が抜けたか、名手たちにはあり得ないような変な失い方を何度もしたせいでネガティヴ・トランジションの速さについてしっかり意識付けされていることは確認できた。スペインにとってはいいトレーニングになったのではないか。
 アイルランドは初戦と違ってボールを奪いにいく気も攻める気もあったが、相手が悪かった。マイボールになるのは相手からのプレゼントにほぼ限られ、それも大半は2プレー以内に回収される。どうしようもなかった、と言うのが選手の本音だろう。戦い方を逆にしていれば、また違った結果が得られた可能性もあっただろうに、完全にプランニングを間違えたようだ。

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EURO2012 Group stage#6(6/13)

Portugal 3-2 Denmark
 前半の大半で続いた、ともに攻めるでも守るでもない散漫な展開は個人能力の高いポルトガルに利した。中盤で簡単にボールを回収できたのでアタッカーたちが簡単に前を向け、攻め込める。そこに連携やチームとしての意志が存在したわけではないが、2人しかプレーしていなくてもそこで点が取れるのが彼らの強みではある。もっとも、2発殴られてやっとパス&ムーブをデンマークが思い出すと、組織のないポルトガルがそれを押し返すのは難しい。パスミスを連発してくれたおかげでギリギリまで追いつかれずに済んだが、中盤のそこここにスペースが空き、最終ラインが何とかはね返すだけのディフェンスでは限界がある。最後は追いついて相手のメンタルが後ろ向きになった隙に初戦でも一定の効果があった4トップがハマって勝ち越しこそしたが、前途多難ぶりに変わりはない。
 デンマークも難しい状況になってしまった。ドイツに対してこのゲームのように集中を欠いていては通用するはずがない。反省を生かして自分たちのプレーを90分間出し切るしかないだろう。

Germany 2-1 Netherlands
 双方が基本的には自陣に2ラインを引いてスペースを消してきたことで、どちらも入っていくことができない。そんな中でドイツが点を取れたのは、グループワークの賜物だ。ある者はボールサイドに素早くフォローに入り、ある者は斜めに走ってDFを引き付ける。そうしてフリーになったのが1点目のシュバインシュタイガーとゴメスだった。オランダにはその精神が著しく欠けており、ロッベンが持てばお任せ、スナイダーが持てばお任せ。皮肉にも得点が生まれたのはパス欲しさにフンテラールが裏に走ったことでファン・ペルシが空いたためだった。中盤でのパス交換のテンポは幾分改善されたものの、最後がこれでは列強の守備は崩せまい。
 ドイツは後半の中盤に集中を欠いたプレーでボールロストを繰り返して流れを失いかけたが、失点してからは守備に軸足を置いて安定感を取り戻した。交代選手もクローゼは猛烈な勢いで相手を追い回し、L・ベンダーはボールを引き出してはきっちりキープして時間を使う。各人が己のすべきことを明確に認識し、それを遂行できるから強い、ということをあらためて証明してみせた。ほぼ確実になったトーナメントに向けては、この試合でもチームとしてうまく使い切れなかった両サイドの生かし方がキーか。クローゼを入れれば簡単に解決してしまうような気もするが…。

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EURO2012 Group stage#5(6/12)

Czech Rep. 2-1 Greece
 さっそく、来た。チェコは初戦で足りなかったサイドからの斜めの飛び出しで早々に2得点。人を代え、ボランチを上げないようにするなど修正を加えた守備も、相手の攻撃がロングボール一辺倒だったこともあって余裕を持って対処しており、楽なゲームになるはずだった。それが実に下らないミスで失点し、浮き足立つとズルズル下がるばかり。メンタルの脆さを露呈してしまった。何とか守り切ったとはいえ、次はホームチーム。もっとプレッシャーを受けることが予想されるのだから、安心してはいられない。
 ギリシャは後半、サマラスをサイドに移してからやっとキープできるようになったが、そこへの関与が希薄で、結局最後は質の伴わないハイクロス。終盤にはセットプレーよろしく長身選手を上げてロングボールを放り込み続けたが、足の止まった相手にとっては、この方がマークを掴みやすく楽だったはずだ。攻撃のベースができていないから、オプションに頼ることになる。10年間やってきた方法を変えようとしている以上、時間がかかるのは当然だが、その片鱗ぐらいは見せてほしかった。

Poland 1-1 Russia
 ポーランドがバイタルエリアのスペースを徹底的に消してきたため、無理に入っていこうとはしなかったロシア。それでもセットプレーで首尾よく先制し、前戦同様に回しながら出てきた相手の背後を狙っていく展開に持ち込んだ―と思ったらそのカウンターでミスが出て逆にカウンターを食って失点。その原因となったアルシャヴィンは焦りからか自分勝手なプレーでボールを失い続け、リズムをポーランドに渡してしまう。そのホスト国も最後まで攻め切る足は残っておらず、精度を欠くプレーに終始した。トーナメント進出のかかる次が乗ってきたチェコだけに、もう一つ取っておきたかったところだが…。

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EURO2012 Group stage#4(6/11)

France 1-1 England
 ゴール前を固める以外に何もしようとせず、ただひたすらミスを待ち続けたイングランド。目論見通り相手が目を覆いたくなるようなミスをいくつもしてくれたが、いくらボールをプレゼントしてもらっても、そこから先は人任せ。そこそこの人材しかいない前線が独力で何かを生み出せるはずもなかった。カペッロがつくったチームらしい退屈さはまるで変わっておらず、結果も先例に倣うことになりそうだ。
 フランスは幅を使ってある程度オートマティックにボールを運ぶことはできており、ナスリやリベリがポジションにとらわれず近い位置でプレーして変化をつけようとしていたのも悪くはなかった。ただ、ベンゼマも下がってそれに加わったことで前に人がいなくなり、他の選手もそこに出て行こうとしなかったので人垣を動かすことができず、ひたすらミドルを打ち続けることに。またポジションを崩した状態でボールを失い、切り替えの守備を外されれば当然、危険なカウンターを浴びる。相手の攻撃に意図も迫力もなかったのに、何度もA・ディアラの猛烈なボール奪取に救われたり最終ラインで相手の突破を止める羽目に陥ったのはいただけない。もっと厚みを加えて攻め切るか、ポジションチェンジを控えめにするか。いずれにせよ修正が必要だ。

Ukraine 2-1 Sweden
 ウクライナは立ち上がりから丁寧にボールを回し、迫力あるサイドアタックに加えてナザレンコやヴォロニンが厳しい位置でもよく受けてペースを握った。フィニッシュの質に問題があったことでなかなか歓喜の瞬間を迎えることこそできなかったが、取ってほしい人が取ったし、足が止まりそうになりながらも最後までよく走り切った。この勝ちでトーナメントも見えてきた。チームは加速する一方だろう。
 スウェーデンはといえば、逆転されるまではイブラに蹴る以外、何もしていない。それでも何度かは何とかなりかけたのが彼のスーパーたる所以ではあるが、もっと有効な使い方があるはずだ。守備にしても人数はいるのに間に入られ、裏は取られ、という体たらくで、攻守ともに改善点は山積みだ。

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EURO2012 Group stage#3(6/10)

Spain 1-1 Italy
 相変わらずよく回したスペインだが、同タイプの選手を大量に起用したせいか、リズムが一定で最後の崩しの選択肢が少なく、大半のスルーパスはDFにカットされ続けた。彼らがメッシを持たない以上、同点ゴールの時にセスクがしたような、斜めの飛び出しや裏へのフリーランをもっと増やす必要があるだろう。また、相手がボールを持っている時に棒立ちで見てしまうことが多く、その一つが失点につながったし、それ以外にも危険な場面を数多くつくられていた。ピルロが各国にいるわけではないにせよ、やや目立った不用意なボールロストや軽い守備も含めて改善していかなくてはならない。
 イタリアはボールを奪いに行く姿勢もあったし、両SBの裏にFWを置いての狙い澄ましたロングカウンター、人数を掛けての攻めなど変革の一端は見せた。ただ、あれだけ回され続ければバテるのも仕方がない。スペインが相手でなければもっとボールを持てるのだろうし、自分たちの目指すものを出して、ある時間帯だけとはいえ王者と互角以上に渡り合ったことは自信になるだろう。双方とも視線はトーナメントに向いているはず。そう考えれば内容、結果とも悪くはない、といったところか。
 そして、このゲームで最も素晴らしかったのはカサイ主審。正しいポジションで見ているからだろう、微妙に見える判定でも不満が出ないし、ゲームの流れが実にスムーズ。立ち上がりはダイブを繰り返したモッタやバロテッリが途中から諦めたかのように怪しげな行為をしなくなったのはフットボールにとっての痛快事だった。カサイ氏には、大きな拍手を送りたい。

Croatia 3-1 Republic of Ireland
 ああ、なんてトラップのチーム。失点直後以外は「ゴール前にバスを置く」ことに専念し、サイドの守備はお留守。いくら中央を固めても、このレベルでフリーで上げられればどこかで失点しないはずがない。攻撃もクインが健在なのかと思うぐらいに放り込みのオンパレード。相手のストッパーより小さいFWしかいないのにこれでは、愚直というより芸がないだけだ。交代策も同じポジションで似たような選手を入れ替えるだけで変化をもたらす要素はなく、もはやモダン・フットボールから取り残された指導者であることを証明しただけだった。
 クロアチアもモドリッチ以外の動きが少なく、彼が1から10まで全部やるか、トップに収まった時に両サイドが絡む程度であとは緑色のバスを前にウロウロしているばかり。それでも幸運もあって3点取ってしまったので、あとは適度に持たせておいて、たまに仕掛けるぐらいで良かった。彼らにしてみれば本番は残り2試合。ここは勝つべき相手からできる限りエネルギーを使わずに3ポイントを得るべきゲーム、という位置づけだったのだろう。

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EURO2012 Group stage#2(6/09)

Denmark 1-0 Netherlands
 持ちたくもないボールを持たされたオランダ。足元から足元に各駅停車のごとくパスを回すだけで、一発芸でチャンスを作れそうなところに行く前にことごとくボールを失っていてはこの結果も受け入れるほかあるまい。対照的にデンマークは奪えばジムリングが受け、ベントナーが引き出す。しかも彼らはさばけばまた次のパスコースを作る。ポゼッション率こそ差があったが、どちらが有効なプレーをしていたかは言うまでもない。デンマークのパスワークにもう少し繊細さがあれば、もっとスコアに差が出ても不思議ではなかった。これでオランダは先を見ている場合ではなくなった。何をすれば点を取って勝てるか、メンバー選考も含めて考え直す必要があるだろう。

Germany 1-0 Portugal
 「ほぼ完成品」対「混沌」―。ドイツは各々のポジショニングが適切だからボールホルダーがまず迷うことなく次のプレーを選択でき、流れるようなビルドアップを実現した。圧倒したのに最後まで冷や汗をかく羽目に陥ったのは、肝心なピースがハマらなかったから。トップがゴメスでは受ける動きやスペースをつくる部分で物足りなさを禁じ得ず、ミュラーやポドルスキの持ち味まで殺してしまっていた。それでも、勝負を決めたのはこの男。最後まで見据えてクローゼを休ませたのだろうが、結果だけ見れば最高だろう。
 ポルトガルは相手のボール回しを後追いするばかりで、ラインがズルズル下がり、 失点後にヤケ気味の4トップにするまでは組み立てすらままならない有り様。ロナウドやナニといった「飛び道具」をどう生かすのか、という共通意識があるようにも見えなかったし、ケイロスがもたらした混乱がまだ続いているようだった。最も可能性を感じさせた「パサー」がぺぺであったことをみても、どうプレーするのか、という方法論は確立されていないようだ。このグループで、それは致命的なファクターとなる可能性が極めて高いだろう。

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