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2010 FIFA World Cup South Africa:Quarter-finals(7/2)

Netherlands 2-1 Brazil
 ともに負けないことだけを考え、リスクを冒さないプレーに終始した。リードしている間のブラジルはそれでも良かったが、追いつかれ、追いかけることになってもそれを変えなかった。相手が下がっているのにカウンターしかしようとしない姿は、王国が持つはずの融通無碍さとは程遠いものだ。またベンチも膠着したゲームに対して何ひとつ有効な手を打とうとしなかった。1人足りないとはいえ、前を増やすなり攻撃的な選手を投入するなり策はあるはずなのにトップ同士を代えただけ。あまりにもリスクを嫌い過ぎ、勝ちに行く姿勢を見せなかった。ドゥンガが限界を露呈した、ということだろう。確かに強かったが、規律だけを重視してプレーするのは、やはりセレソンではない。何もないところから失点して敗れた結果は、アイデンティティーを放棄した罰を受けた、と考えるべきかもしれない。
 オランダは前半、負けているのにカウンターを怖がって何もしようとせず、逆転して相手が1人減ってからやっとプレーを始めた。前からプレッシャーをかけてコンビネーションと個の力で攻め込む、この時間帯のプレーこそが本来の形のはずだ。運だけではこれ以上先にはいけない。こちらも持ち味を思い出さなければならない。

Uruguay 1-1(PSO4-2) Ghana
 双方ともコンパクトかつタイトにプレーし、出せるものは出し切った。それだけ運動量も終盤には激減して打ち合いの様相にはなったが、最後の局面で守備が集中を切らさなかった。ガーナは、アフリカ人の能力に規律が加わったときにどうなるか、という将来像の一端は見せたが、相手を押し切るほどの迫力は持ち合わせていなかった。グループでのオフェンスの質を高めていけば、4年後にはより上を狙えるチームになっているはずだ。ウルグアイはスアレスを欠いてオランダ戦に臨まなくてはならない。相手がどこであろうと、失点は計算できる。どう点を取りに行くがキーとなるだろう。

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2010 FIFA World Cup South Africa:Round of 16(6/29)

Paraguay 0-0(PSO5-3) Japan
 ともに、フリーズしたゲームを「解凍」する手立てを持たなかった。日本はビルドアップの1本目のパスからミスを繰り返し、阿部や長谷部に相手がプレスをかけてきたことで、ただ蹴るだけのシーンも多かった。前に収まっても後ろの選手がリターンを受けられるポジションまで出て行かなかったり、その次をミスしたり。持ち過ぎて奪われる場面も目に付いた。何本もあったFKを本田にほとんど蹴らせなかったのも不可解だった。パラグアイは日本よりは深くまで運べていたが、ラストパスの精度があまりに低く、個の力に頼るしかなかった。
 途中からはレフェリーも赤白のユニフォームに着替えたかに見える判定を繰り返す中で、特に終盤は途中出場の中村憲や岡崎がスペースに入り込んで起点となり、何度も好機をつくったが、そこでパスがずれたり、打てるはずのところで打てない。ベンチも選手も取りにいったのに取れなかったのは、そこまでの力しかなかった、ということだ。ただ、その状況でも守備の堅固さが失われなかったのは、チームが戦ってきた中でレベルアップしたことを示している。
 日本は、組織に本田や松井ら数人の「個」が加わったことで、ただ守って負けない試合を目指すだけではなく、勝利を狙える力は示した。今後、点を取って勝ち切れるようになるためには質の高い個が組織を形成するようにしていかなければならない。今大会でいえば、究極はブラジルだ。1人1人が精度を追求し、状況を見て高いリスクすら冒せる判断力を磨いていく必要がある。そのためには、Jリーグは現在のように牧歌的な、事なかれ主義がはびこるゲームばかりしている場合ではない。言うまでもなく、それは2部もだ。日本のフットボールに関わる全ての者が、4年後に向け野望と希望を抱いてゲームに臨み続けなくてはならない。

Spain 1-0 Portugal
 前半のスペインは見るに堪えなかった。足元から足元に回すばかりで、ビジャは相変わらず開きっ放し、フェルナンド・トーレスまでイニエスタが中盤に下がってプレーするスペースを埋めるかのように右にばかり流れる。誰が点を取るつもりだったのだろう。さすがに後半は動きが出てきたが、中が足りないのはそのまま。逃げ回らないジョレンテを入れてやっとフットボールの体をなすようになった。先制すると回し倒して時間稼ぎに入ったのはいいが、なぜか最後に慌ててボールを失い続けて押し込まれるなど、まだ本調子には程遠い。
 デルボスケはそろそろ使える選手を見極め、選手が能力を最大限発揮できる形を見いださなくてはならない。中途半端に守備を意識してブラジルの真似をしたところで、彼らには絶対に勝てない。このゲームの相手を見ればわかるはずだ。ボールやゴールを奪いにいく戦略もなく引いて守るだけで、攻撃は個人に丸投げし、回されだしたら手も足も出なかったではないか。所詮コピーはコピー。スペインにはオリジナルがある。それを思い出すだけでいいのだ。

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2010 FIFA World Cup South Africa:Round of 16(6/28)

Netherlands 2-1 Slovakia
 まったくリスクを冒そうとしないオランダと、その段階まで行く前にミスを連発するスロヴァキア。まるで全てが決まったグループリーグの3つ目のようなゲームで、見るべきものは数少ない個人の突破ばかり。オランダは次に向けて体力を温存しようとしたのか、単純に体が動かなかったのか。挙げ句の果てに要らない失点。過去の数々の失敗の記憶がよみがえってくるような内容だった。

Brazil 3-0 Chile
 スペインは恐れなくても、ブラジルは怖かったようだ。チリは無理に最終ラインを上げずにカウンターをケアしていたが、それはプレスが利くことが前提だったはずだ。ところが当たりが明らかに弱く、簡単に交わされるとそこには広大なスペース。スピードに乗ったセレソンの選手を止めるのは誰でも難しい。また前半はスアソが簡単にボールを失い過ぎて前に仕掛けるタイミングをつかめず、入れるパス自体のミスも多かった。後半の選手交代で収まるようにはなったが、今度はブロックをつくられて出て行くスペースがない。持たざるを得なくなったところをさらわれてカウンターを食うのは結局同じだった。相手を意識し過ぎて、自分たちのプレーを全く発揮できないままでの敗退には悔いが残る。
 ブラジルにとって、腰の引けたチリでは相手として不足だっただろう。相手が少しでも時間をかければあっという間に囲んで奪い、運ばれれば水も漏らさぬ堅陣をゴール前に築き上げる守備。攻めてはカウンターのみに世界一の個人技を投入することの恐るべき合理性を存分に見せ付けた。次の相手がこの日と同じオランダであれば、敵ではないはずだ。

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2010 FIFA World Cup South Africa:Round of 16(6/27)

Germany 4-1 England
 中盤で引っ掛けて速く攻めたいのはどちらも同じ。ただ、そこからの質が違い過ぎた。縦、横、斜めと次から次にポジションチェンジを繰り返してパスコースをつくり、ダイレクトやワンタッチで動かして取りどころを与えないドイツと、持ち場から動かないからボールホルダーが出せず、結局蹴るだけになったイングランド。途中、ルーニーやランパードが引いたり出たりすることでスムーズに攻められた時間帯もあったが、他の選手ができたスペースに入ってこないので結局フィニッシュは力ずく。持たれてもカウンターをされても、コンビネーション、ライン操作ともに不安定でズタズタにされ続けた守備陣も含め、これ以上勝ち上がる力はなかった。例のシュートがゴールと判定されていたとしても、結果は同じだっただろう。
 ドイツはほぼ完璧といえるゲームだった。次のアルゼンチンも中盤でプレスをかけて最終ラインが直接さらされないように注意し、このゲームのようなコンビネーションで攻め込むことができればそう難しい相手ではない。いい流れになってきているようだ。

Argentina 3-1 Mexico
 メキシコは、個を組織で抑え込むことは、ある程度できていた。それだけに存在するはずのなかった2失点がゲームに大きな影響を与えた。誤審は彼らの責任ではないが、直後の2点目は集中を欠いた、と言われても反論できまい。攻撃でも回してはいても裏を突いたり中央ででボールを引き出す動きが足りず、単調なサイドアタックや手詰まりになってのロングシュートに終始したことで、コンビネーションに難のある相手の最終ラインを崩しきれなかった。韓国もそうだったが、相手の名前に対して必要以上の重圧を感じているようにも見えた。
 アルゼンチンは前線の選手が即興のコンビネーションでゴールに迫る姿にこそ迫力があったが、プレスバックをしたりしなかったり、押されたら押される一方で前に出て行けなくなったり、やはり「個人能力×11」のゲーム運びでは限界がある。ドイツは名前には恐れを抱いてくれないだろうし、組織力では比べものにならない。厳しいゲームになるだろう。

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2010 FIFA World Cup South Africa:Round of 16(6/26)

Uruguay 2-1 Korea Republic
 早々に先制したウルグアイは前線に3、4人を残してリトリートに切り替えたが、中盤も下がり過ぎて、これまでのようなボールを奪いに行く姿勢を欠いたことで相手に容易に深い位置までボールを運ばれる。エリア近辺で跳ね返すことをこれだけ長い時間続けていれば、どこかで失点するのは自明の理だ。ただ、そこから攻撃的にプレーしてゴールを奪い切ったことは、彼らが勝負どころを知り尽くしたレベルの高い選手の集団であることを示した。ただ、アグレッシヴさを思い出さないと次も苦戦するだろう。それこそが彼らのアイデンティティーだからだ。
 韓国は最後のところでコンビネーションを使ったり追い越したりする工夫が足りず、ポゼッションの割に決定機は多くなかった。相手にはスアレスがいたが、彼らにはいなかった、ということも言える。また、ナイジェリア戦と同様、ロングカウンターに対してスペースを埋めきれずにピンチを招くことが多く、それ以外にもポジショニングミスや対応の甘さが失点につながった。大会を通して、ボールを動かして運ぶまではできていたが、得点は結局セットプレーか相手のミスばかりだったという事実が、彼らの課題を物語っている。やはり最後に必要になるのは質の高い個だ、ということか。

Ghana 2-1 USA
 立ち上がりこそガーナが2ライン+アナンが形成する堅固なブロックでボールを奪い、そこからの素早いオープンアタックで圧倒したが、アメリカも迅速な交代策でビルドアップを改善し、アナンの両側のスペースに次々と侵入していつもの組織的なカウンターで押し返す。後半になるとガーナがプレッシャーをかけられなくなり、自由にビルドアップされる時間が長く続く。そこをキングソンの好判断やビッグセーブに加え、最終ラインが集中力を切らさず紙一重のところでしのぎ、最少失点で粘り切ったことが勝利を呼び込んだ。
 アメリカも追い付いた直後から前に入っても出ていけない場面が増え、相手の中盤を生き返らせてしまった。決勝点は不運な形ではあったが、その流れがもたらしたものでもあろう。とは言え、常にサポートとフリーランを繰り返して迫力と厚みのある攻めを続けた内容に悔いはないはず。彼らにとっては間違いなく今大会のベストゲーム。それで負けたのだから仕方ない。

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