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2009シーズン総括(FW編)

総評:1トップなのにサポートは薄い、ハイボールばかり飛んでくる、といった状況が長く続いたことには同情するほかないが、それを主体的に打開しようとした形跡が見られなかったこともまた事実。中盤に降りて誰かを押し出すなり、裏に走ってボールを引き出すなり、できること、要求できることはあったはずだ。どうラストパスを受けるのか、という部分でも、周囲と同じタイミングでボックスに入って口を開けて待っているだけではパスは引き出せない。味方の動きを見ながら、どう動けば相手を外せるのか、などの思考を巡らせた様子は見えなかった。トップだけの責任ではなく、チームとしてフィニッシュの引き出しを増やすためにしなければならないことは山ほどある。

#13 中山 元気
 愛すべきヘタクソ―。最後の最後まで、彼は彼のままだった。献身的なチームプレーヤーであり続けると同時に、それ以上のことができるようにもならなかった。そのプレースタイルが中途半端に評価されていたことで、それに甘んじていた部分もあったのではないか。得点にもフィニッシュにも絡めないFWが価値を認めてもらうことは難しい。チェイシングではなくゴール前に飛び込むことで相手に脅威を与える存在になるために、このチームを離れることを転機にしてほしい。

#19 キリノ
 本質的に触って飛び出すことでリズムをつくるプレーヤーであることを考えれば、サポートもないのに「収まらない」などと非難を受けるのは不当なことだ。彼はドログバでもイブラヒモヴィッチでもない。実際、ハファエルがいる時にきちんとした縦パスが入れば、彼とのコンビネーションで決定機を生むことができていた。他の選手が彼の近くでプレーしようとせず、裏を狙える状況でもそういった配球がなされなかったことを考えれば、この結果を残したことは彼の能力の高さを示したものだ、と考えられなくもない。ただ、簡単なシュートを外す場面も目立った。ポストプレーもそうだし、技術的に改善すべき点はまだある。

#26 上原 慎也
 速いのか、高いのか。何をしたいのか、何ができるのかは最後まで判然としなかった。チームの中で自分の特長をどう生かせるのかがまだ整理できていない印象で、ただがむしゃらにやっているだけにも見えた。それでも結果を残しているのは、点を取れる何かを持っている、ということだろう。それを自覚して武器として使えるようになれば、飛躍の時を迎えられるのではないか。

※出場機会の少ない選手は割愛した。

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2009シーズン総括(MF編)

総評:点を取るために何をすべきか、という意識が決定的に欠けていた。誰もリスクを冒さずに「ポゼッションのためのポゼッション」を延々と続けた上、必要な時でもボックスに入っていかずFWを独りにし続けるさまは苛立ち以外に何も呼び起こさなかった。バルサを参考にするのなら、シャビやイニエスタのボールの受け方や動き方をこそ見ておくべきだ。局面に応じたキープや突破のチョイス。そこにどれだけ頭を使っているのか。まさに今季の札幌に足りなかったものが、そこにある。ネガティヴ・トランジションの際に見せた勤勉さを、攻めに移る際にも見せなくてはならない。

#7 藤田 征也
 今季も攻守によく走っていたし、貢献度は高いはずなのに印象が薄いのはアタッキング・サードでのミスが多すぎるから。クロスはことごとく相手に引っ掛け、決定機は外す、とあっては逆の意味でインパクトがあった、と言えなくもない。左サイドに回ってからも右と同じプレーをしようとして再三手詰まりになるなど、監督のメッセージを消化できていたとは言い難い。そこに気が付けば、技術も上がってくるはずだ。ポゼッション・フットボールの中で速さを生かす術を身につけていかなければならない。
 
#8 砂川 誠
 打開力やキープ力は相変わらずハイレベルだが、足元でばかりボールを欲しがり、遅い攻撃をさらにノッキングさせることも多かった。途中出場が多かったことからしても、かつてのようにスペースでもらう動きをして変化を与えることこそ、彼に期待されていたものではなかったのか。古田や岡本の台頭もあるし、立場は安泰ではない。チームに異質のクオリティーを与える力はまだあるはずだ。そのためにどうすればいいか、考えてほしい。

#9 石井 謙伍
 シーズン中盤にサイドで出た数試合、ダイアゴナル・ランによる的確な飛び出しや意外なパスセンスで強烈なインパクトを残したが、出場停止を機に失速し、また元の自信なげな姿に戻ってしまった。何人かの選手を最優先する起用法の犠牲になった側面もあるが、この安定性のなさ、メンタルの弱さが出場機会を失った最大の原因だろう。能力は間違いない。環境が変わることでそれをフルに発揮できるだけのモノを身につけられるか。それによって未来が開けるかどうかが決まってくるだろう。

#10 クライトン
 トップ下の選手ではなかった―。これに尽きる。テクニックは素晴らしくてもゴールにつながるアイディアは持ち合わせていなかったので、卓越したキープ力にばかり頼ることになり、マークを集めるだけ集めて、負傷を悪化させることになってしまった。下がり目で守備を引き受けさせるわけにもいかないし、今季の札幌にとって彼の特徴が中途半端であったことは否めない。ただ、闘争心やプロ意識など彼の残したものは大きい。若手がそれを引き継いでくれることを祈るばかりだ。

#10 ハファエル
 仕掛けること、狙うことへの意識が高く、当初は常にトップを意識したポジショニングでフィニッシュワークを狙っていたが、いかんせんトップにボールが入らないのでは仕事にならない。それでも数少ないチャンスをモノにできるだけの技術はあるので結果は残したが、それでは継続的に出ることは難しい。終盤になってコンディションが上がってくると動きが幅広くなってボールに絡む回数も増えてきた。守備でも手を抜かない勤勉さも評価できる。残せるのなら、来季も大きな戦力になるだろう。

#11 宮澤 裕樹
 トップでも中盤でも簡単にボールを失いすぎるし、パスを出したらそれに酔ったかのように突っ立ったまま。ゴールを狙う意識も低い。確かに周囲は見えているし、テクニックもあるが、今季のプレーぶりはポジションを与えられ、どんなに酷くても先発の座が保障されていることに甘えているようにしか見えなかった。せっかくのセンスを無駄にしたくないのなら、もっとチームのためにプレーしなくてはならない。そうすることで波も小さくなるはずだ。彼が故障した最終盤に、チームがスピード感あふれるゲームを見せたことをどう見るか。「偶然ではない」と考えてくれればいいが。

#14 ダニルソン
 傑出したスピードと運動量で広大な範囲をカバーしたが、後ろへの意識が極めて低く、ボールにアタックしている局面以外の守備面での貢献度はそう高くはなかった。守備技術の低さ故のファウルやパスミスも多く、ミドルシュートも「芯を食えば」というレベル。ほとんど本能だけでプレーしているので見ている分には楽しいが、このポジションの選手がそれでは困る。すべてにおいて発展途上。

#17 岡本 賢明
 ドリブルでの打開、ボックス内での思い切りの良さなど持ち味は発揮した。追いかけているだけだった守備でも長足の進歩を遂げていただけに、負傷は痛恨だった。ただ、ポジションを失ったのは波の大きさからだし、サイドで出ている以上は縦の選択肢も増やしてほしい。どれだけ、同タイプの古田との違いを示していけるか。

#18 芳賀 博信
 右SBとしては対敵動作やポジショニングに問題があり、センターハーフとしては拾うこととカバーはできても、当たって奪うのは得手ではないので、ダニルソンの代役には明らかに不適。使い勝手は良くても、このやり方の中で機能していたとは言い難い。誰かの補佐役、という彼に適したタスクを与えられたときにはハイパフォーマンスを見せることもあったが、その数は少なかった。球を蹴る部分で見劣りするのも相変わらずで、ここを改善していかなければ立場は苦しくなる一方だろう。

#20 上里 一将
 レギュラーとしてプレーする準備ができていたことこそ示したが、出続けたことによってプレーヤーとしての穴も数多く露呈した。展開力はあっても決定機につながるプレーには消極的だったし、ポジショニングが悪いから得意のミドルを打てるような場所に入っていけない。数年前、あれだけ意識していた飛び出しもほとんど見られずじまいで、攻撃の核として機能した、とはとても言えない。守備面でも対面の相手について行くことや当たることはできても、危険なスペースを見る意識がないことはセンターハーフやサイドバックとしては致命的。(監督の中での優先順位は高いけれど)ほかに使う場所の選択肢がない、という理由でトップ下に使われていたようにも見えた。そこで質の高いプレーをしたわけでもないのだから、来季も最優先で起用される、とは考えない方がいいだろう。主将という立場で、ポジションも中央なのに苦しいときにチームをコントロールし、引っ張る意識を持ってプレーしていたようにも見えないし、持ち越した荷物はとてつもなく大きい。課題を克服しよう、という姿勢は持っているはずなので、来季のブレイクに期待したい。

#22 西 大伍
 テクニックもイマジネーションもあり、目配りも利くので中盤のセンターがが最適なのは明らかで、実際にトップ下で前後をつなぎながら得点という結果を残すなど、最もいいプレーを見せた時期はチームも内容と結果を両立させていた。ただ、基本的には上里と宮澤を最優先する起用法の割を食ってサイドバックに回されることが多く、そこでもできる最大限のプレーはしたが十分に機能したとは言えなかった。そのメンタリティーや、チームのアイデンティティーを体現する存在であることを考えれば失いたくない人材であることは間違いないが、新シーズンも「便利屋」扱いをされ、持ち味を生かしてもらえないような状況と戦わなければならないのなら、新天地を求めるべきかもしれない。

#27 古田 寛幸
 テクニックも状況判断もハイレベルで、チーム内ではナンバーワンだろう。ボールの受け方もよく考えているし、他の選手が見習わなければならないようなものを持っている。つまり、レギュラーを奪ったことは驚きでも何でもない。一時、迷っていたのか中途半端なプレーが増えたが、最終盤には思い切りの良さも戻り、再三決定的なプレーを見せた。あとはゴール前での落ち着きを身につける必要がある。今季は外すごとに自信を失っていったようで、彼の技術レベルを考えればあり得ないようなミスもエリア内ではあった。正しいポジションは取れているのだから、1点取れれば自信になるはずだ。守備もサイドとしては十分に及第点の動きで、フットボールIQの高さを覗かせた。

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2009シーズン総括(DF編)

総評:チームコンセプトに則って前でプレーしよう、という気持ちは随所に見えたが、周囲とのリレーションシップがない状態でそれに挑むのはただスペースをプレゼントするだけの自殺行為。逆にFWや中盤がプレスに行っているのにラインが下がったまま、という場面も多く、前を動かして守備をコントロールするだけの状況判断やコーチングに問題を抱えていることは明らかだった。常にサイドバックの1枚が「素人」だったのも難しくなった原因だが、こればかりは選手の責任ではない。また、受け手の動きが少なかったにせよ、全般に横パスばかりが多く、ビルドアップへの意識が低すぎたことも改善しなければならない。

#2 吉弘 充志
 戦っていたし、高い位置で積極的につぶせてもいた。集中を切らすことも少なく、よく頑張ったのだが、同タイプのソンファンとは噛み合いが悪く、コミュニケーションにも難があったようで特にカウンターに対して脆かった。石川とは特に問題はなかったし、使い方の問題か。また、足元への自信のなさがボールを持ったときの態度に表れており、「パス」を配給したのは数えるほど。ダイナミックなサイドチェンジを繰り出すことなど誰も期待していないが、出場機会を安定させるためにも、最低限のつなぎは身につけてほしい。

#6 西嶋 弘之
 「サイドバック兼第3のCB」といった役回りを左でも右でもそつなくこなし、インテリジェンスの高さを見せた。彼のカバーに救われたことも少なくないが、例年に比べるとやや集中を欠いたプレーが多かった。SBとしては横パスばかりではなく、クサビを入れるなど、もっとビルドアップに関与してほしいし、出たときのバリエーションや精度にも物足りなさを感じた。元々キックも悪くないし、周りも見えているのだからもっと高いものを要求していいはずだ。

#15 チョウ ソンファン
 最初こそ素晴らしかったが、点差の開いたゲームで集中を欠いたプレーが現れだし、ついには試合に出るごとにミスを犯す始末。前に出るのはいいが、状況を考えていないことが多いのでギャップを量産し、さらにそこで軽いプレーを繰り返して後ろの選手を恐慌に陥れ続けた。結局は強さ、速さといった能力の片鱗を示したにすぎない。こんなプレーが続くのならレギュラーの座は覚束なくなる。今季は環境の変化などエクスキューズもあったろうが、来季も残るのならそれは通用しない。自分から合わせていくことも必要だ。

#23 岩沼 俊介
 1対1でも絞ってのカバーでも問題なかったし、鋭いクサビや正確なクロスなど攻撃面でも能力を発揮した。今季、出場したゲームに関してネガティヴな要素はほとんどない。当然、レギュラークラスとして来季に臨むことになろうが、そこで出てくるはずの様々なトラブルや課題にどう向き合って解決するか。試合に出るために乗り越えなければならなかった壁に比べれば、なんてことはないはずだ。

#29 石川 直樹
 能力的に何が傑出している、というわけではないが、当たり前のことを当たり前にできる、というこれまでチームにはなかった要素を最終ラインに加えて安定を導いた。リーダーシップも持ち合わせているし、来季も彼が中心としてやっていくことになるだろう。今季はわずかしか見られなかったが、正確な左足の持ち主でもあるし、縦パスやサイドチェンジなど積極的なビルドアップも期待したい。

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2009シーズン総括(GK編)

総評:起用された3人とも一長一短があり、しかも「短」の方がはるかに大きいありさまでは、チームに安心感を与え、勢いをもたらすことを望むのは無理だった。誰かが急成長することに期待するのは現実的ではない以上、最も補強が必要とされるポジションだろう。

#1 佐藤 優也
 開幕からポジションを与えられ、毎試合のようにあらゆる種類の致命的なミスを犯し続け、5試合で見切りをつけられた。いつまで反射神経だけでプレーするつもりか知らないが、毎年同じことを繰り返している現状を考えれば、そろそろ自分に何が必要か気付いてほしい。

#16 荒谷 弘樹
 ミスは少ないが、大仕事をやってのけるだけのツールも持ち合わせてはいなかった。また、前に出る判断に難があったことを見ても今季のプレースタイルに合ったタイプとは言えなかった。ある程度の計算は立つので、控えとしてならまだ需要があるはずだ。

#21 髙原 寿康
 ビッグセーブも多いが、それ以上に下らないミスが多すぎる。毎試合のようにクロスやハイボールに出て触れない、ということを繰り返す判断の拙さはGKとして致命的だ。しかもこの課題はずっと引きずったまま。ポジショニングミスが多いのも同じ理由だろう。出れば出るほど粗が目立ってくるようではシーズンは任せられない。使われたことによって露になった課題を、どれだけ克服できるかで今後が決まるだろう。

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