2009J2#29 富山0-0札幌@富山総合運動公園競技場
結果は変わらないかもしれないが、内容はこの数試合とはまったく違う。弱気なバックパスや横パスも少なかったし、最後の局面でアイディアを発揮しようという姿勢も見えた。狙いのあるチャレンジは、失敗しても実はリスクは高くないということにやっと気がついたようだ。確かに、再三、クサビがずれたりパスを感じていないなど意図がかみ合わない場面が見られたが、このメンバーで攻めを構築するのはわずか2試合か3試合目。それを考えれば悪くはなかった。サポートを前提とした縦パスを、多くの選手がトップに供給しようとしていたこと自体、大きな進歩だ。
実際、キリノや藤田は個人としては高いパフォーマンスではなかったが、石井や西を含めたユニットとしてはポジションチェンジ、斜めの動き、サポートなど、即席に近い中でも有効に機能していた。だからこそベンチも最後までやり方を変えなかったのだ。ただ、このやり方だと対応できる選手が限られるので先発の選手を引っ張れるだけ引っ張った、という側面もある。中山や横野では技術、戦術的に荷が重いのは明らかで、信頼の置けるサブスティテューションが砂川しかいない層の薄さはいかんともし難い。実際、次節は石井が出られないので考えなければならないことが増えてしまった。ポスト・クライトンにおける方法論を見いだしつつある以上、メンバー構成もそれに合ったものにしていかなくてはならない。現状では、岡本や古田の成長に期待するか、ハファエルがフィットすることを祈るばかり、というところだが、長期的にスカウティングの的を絞りやすくするためにも、形が固まってくるのは悪いことではない。外国人次第で方法論が変わるような状態から、一歩前に進みつつある、とみなしても間違いではあるまい。
あとはフィニッシュだ。別に、FWが決める必要はない。これだけポジションチェンジを機能的にできるのなら、誰でも、前に飛び出した人間が決めればいいだけだ。もう一押しのところまでは来ている。後半など、大半の時間帯で局面ごとに数的優位をつくって相手を振り回し、面白いようにサイドを崩せていたではないか。あとはそこで中とタイミングを合わせられるか、質の高いボールを供給できるかだ。いい形で1点取れれば、ゴール前での落ち着きも出てくるはず。サポーターとしても、昨季の惨状を思えばその程度の辛抱は何ということでもあるまい。結果だけをみて不満を吐き出す傾向が強まってきているが、喚き散らす気にすらならなかった1年間を忘れてはいけない。もちろん、選手の側は隔靴掻痒の感を与えないためにも、コンビネーションを合わせるべく練習を積む必要がある。キリノも西も石井も藤田も、ハートとテクニックのバランスポイントを、一刻も早く見つけ出すことだ。ここを乗り越えられれば、次のステップに進むことができるはずだ。
守備陣は、石川が当たり前のプレーをしただけで大分落ち着いた。大体、J2レベルとはいえ、これだけボールをキープできるチームに対峙した相手にまともなビルドアップができるはずもないし、チャンスをつくることすらままならないのは、本来なら当たり前のこと。変哲もないボールを決定機に変える「魔法」を生んでいたのが実は自分たちの心の弱さだった、ということに周りの選手も気がついただろう。これを機に、誰が入っても普通にプレーすることができる状態を取り戻してほしい。
そろそろ、対外的には結果が必要とされてきている。この内容ならそう遠くないうちに―とも思うが、それでは納得できない客が増えてきていることも事実だ。ベンチも選手も、そういった声を受け止めながら、上がってきたクオリティーへの自信を失わず、修正点をしっかり認識して次のゲームに臨まなくてはならない。
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