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高円宮杯第20回全日本ユースサッカー選手権大会決勝トーナメント ラウンド16:札幌U-15 3-1 桐蔭学園中学校

*これぞ、フットボール。トップの大人たちがやろうとすらしなかったことを、中学生が事も無げにやってのける。特に前半立ち上がりの、徹底してグラウンダーでつないで波状攻撃を仕掛けるさまは、EUROのスペインすら想起させた。

*もちろん、課題も見えた。前半は相手が愚直なまでにキック&ラッシュを仕掛けてきたことでゲームを落ち着かせることがができず、内容で圧倒しながら不必要に押し込まれてやらずもがなの失点をしてしまった。こういった状況では相手の出方を見極めてゲームを運ぶことも必要になってくる。特に荒野は、ポジションを考えても持っている技術や戦術眼を考えても、もっと積極的にゲームに関与する必要があった。ただ、後半はベンチの適切なポジションチェンジもあり、全員が動いてボールを動かし、ゲームを完全に支配するに至った。これが自分たちの判断でできるようになれば、もっといいチームになれる。

*足元の技術に自信があるせいか、ボールを受けるための動き出しが悪いので意図があるプレーが出ても形にならないことが多く、雑なプレーも目立った。顔の出し方や受ける時の体の使い方、視野の確保の仕方を覚えれば、よりレベルアップできるはずだ。それでも、数名の質と量を兼ね備えた選手がそれを十分にカバーしており、後半にはそのことを感じ取ったほかの選手もアグレッシヴさを増してきたあたり、日ごろの指導の適切さ、選手の意識の高さが窺い知れる。いくら打っても入らなかったFWが、それでも体を張って起点をつくり、サイドに流れてチャンスメークをしていたのはその好例。こういった選手にこそ、福音はもたらされるはずだ。

*常に首を振って状況を確認し、自分が持っても人が持っても適切な判断ができる選手、正確な技術をエリアへの飛び出しで生かせる選手、サイドでもセンターでも持ち味を発揮できる選手…。それ以外の選手も質と量を兼ね備えており、U-18に誰を上げるか困るぐらいの粒揃い。彼らがトップで主軸を張る日が来るのが楽しみになる、そんなゲームだった。課題を克服しながら、ぜひ順調に伸びてきてほしいものだ。そうなればこのチームの未来は明るい。

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2008シーズン総括(MF・FW編)

MF#7 藤田征也
 ノー・インパクト。試合に出ていたかどうかすら記憶にないほどで、彼らしい突破や走り込みは影を潜めた。今季のやり方ではサイドハーフの活躍の場が少なくなるのは確かだが、それでも砂川あたりはゲームに関与できていた。その瞬間瞬間で、チームに何が必要かを見極める目の違いだろう。必死に走るだけではなく、プレーヤーとしての幅を広げることも考えていかなくてはならない。

MF#8 砂川誠
 攻めの薄さを認識し、何とか解決しようともがき続けた。サイド突破よりダヴィへのサポートを重視する動きが目立ち、そのこと自体は効果的だったが、次に出すところがなければどうしようもない。自分のゾーンから離れないことばかり気にしていた他の選手に、どれだけその意図が通じていたのかは疑問だった。もっと強く要求して周りを動かすぐらいのことはしても良かったし、その資格が彼にはあるはずだ。

MF#15 クライトン
 ビルドアップと呼べるようなプレーをしていた、唯一の選手。彼のパスとセットプレーがなければ-と考えると、ぞっとする。いくらマークされても、サポートがなくても次のプレーにつなげる様は、凄みさえ感じさせた。まさに孤軍奮闘だった。観客すら巻き込もうとした闘争心も、忘れることはできない。「守備をしない」などと的外れな批判も受けたが、できる範囲での守備はしていたし、ボールキープすることで守備に与えた余裕は計り知れない。大体、戻って来れなければ誰かがカバーするのがチームというものだ。そのシステムを構築できなかったのは彼の責任ではない。

MF#18 芳賀博信
 クライトンが空けたスペースをよく埋め続けたが、そのタスクを担ったのが彼一人では結末は見えている。案の定シーズンを追うごとに動きが鈍り、後半戦の大半をベンチから眺めることになってしまった。極端な戦術の犠牲になったと言うべきか。ただ、攻撃面での進歩は見られず、ただ蹴るばかりの場面が目立った。このポジションの選手には正確な状況判断と最低限のパスは求めたいし、特性を考えてももっとオーバーラップがあっていい。来季からは、走って、体を張ってさえいればいい、ということにはならないはず。サッカー人生を左右する正念場になるだろう。

MF#22 西大伍
 今季、最も成長した選手。恐らく、最初に使われた理由は競り合いの強さや運動量といった、彼のキャラクターからすれば的外れなものだったが、そういった部分を出しながら、徐々に持ち味のテクニックや飛び出しのセンスを発揮できるようになった。サイド、センター、トップでプレーし、どこもそれなりにこなしていたが、キープやショートパスの能力を考えればFWの近くでプレーする中盤が適任だろう。ミドル、ロングパスの精度を上げることができれば、視野の広さは持っており、優れたインターセプトの感覚もあるので、下がり目もできそうだ。見た目に似合わぬハートの強さも印象的で、来季はチームを引っ張る存在になるだろう。

MF#24 西谷正也
 守備力や運動量を不安視されたせいだろう、ほとんどが途中出場で、しかもチームがまともにプレーできない状況で出されても何かができるはずもない。ボールさえ来ればアクセントをつけられていたが、いい位置で受けられたことはわずか。ボールを受けに低い位置まで下がることもあったが、そんな所で持っても出す選択肢が1つしかないのでは意味はなかった。ほかの選手とうまく組み合わせられればまだやれるだろうし、彼のテクニックを必要とするチームはあるはず。力をフルに出せる環境が見つかることを祈りたい。

FW#10 ダヴィ
 適当に蹴られたボールを速さと強さでマイボールにしてゴールを決める、というとんでもないタスクを文句も言わずにほぼ完遂し、これだけの結果を残したのだから文句はつけられない。視野の狭さ、カードの多さは確かに問題だが、サポートもろくに得られない状況がこれだけ続けば味方を使う気にもならないだろうし、常にマークが複数いたのだからストレスもたまったはず。大目に見るべきだ。むしろ、コンビネーションプレーを苦手にしている部分が見受けられるので、手厚いサポートが得られるであろう次のチームにどうなじんでいくかが課題となるだろう。

FW#11 アンデルソン
 優秀なポストワーカーだが、今季のやり方に必要なタイプであったかどうかには疑問符がつく。ダヴィが出ていればボールはほとんどそっちに行ってしまうし、せっかく受けても相棒は絡んでくれない。ダヴィがいないゲームの方が周囲をうまく使って有効なビルドアップができていたのは、偶然ではないだろう。最初のうちは守備でも頑張っていたが、サポートは薄い、ボールは来ない、マークはきつい…なんて状況が続けばやる気を失うのも当然で、終盤は惨憺たる出来だった。

FW#13 中山元気
 サイドハーフで出だした当初は凄まじい運動量と積極的な飛び出し、ゴール前への飛び込みで強烈な印象を残したが、そんなハイペースが続くはずもなく、いつの間にか元に戻ってしまった。相変わらず走っているだけで、ボールとの相性も悪いまま。頑張ることは必要だが、技術やプレーヴィジョンを持つことはもっと重要だ。その部分を身につけられない限り、そろそろ首筋が寒くなってきても不思議ではない。


※出場時間が短い選手、評価すべきプレーがなかった選手については割愛した。

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