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EURO2008 Semi-finals:Spain 3-0 Russia

 スペインは、完璧なディフェンスをした。素早い切り替えで前線からパスコースを限定し、アルシャーヴィンが使いたい最終ラインの前のスペースはマルコス·セナを中心に埋めて彼に仕事をさせない。リードを奪った後はシャビ·アロンソを投入してさらにそこを固める徹底ぶりだった。いよいよ手がなくなって無理に縦に入れてくれば、対応はさらに容易になる。スカウティングに基づいて対策を講じるのは当たり前のことだが、それを最後まで集中を切らすことなくやり遂げた、という点に彼らの今大会における成長を見ることができる。
 攻撃では前半こそフリーランニングが少なくプレスに苦戦したが、後半に先制してからは相手がリスクを負って前に出てきたことで守備の出足の早さを生かしたカウンターが効果的になった。それを見越してグイサを投入したベンチワークも見事なものだった。
 ここまでの内容だけを比較するなら、ドイツは彼らの敵ではない。自分たちのプレーさえできれば相手がベストの状態でも引けをとることはないはずだ。最高の内容で最高の結果を出したことで浮つくようなことがなければ、問題ないだろう。
 ロシアは切り替えやビルドアップの部分でことごとく先手を打たれ、何もさせてもらえなかった。中盤をコンパクトにしてボールを奪いにいっても交わされ、厳しい状態をつくられても強引に前に入れて押し上げれば、ボールを失って裏を突かれる。1点差であれば様子を見ながら相手が嫌がりそうなカウンターやセットプレーに賭ける、という選択肢もあったはず。それでもそうしなかったのは経験不足もあろうが、最も重要なのは彼らのスタイルではない、ということだろう。
 強い相手に自分たちのやり方を貫いて、敵わなかったことを恥じる必要はない。素晴らしいプレーをしたスペインこそが称えられるべきであり、こういった経験が強くなっていく上での糧になるはずだ。テクニカルでアグレッシヴなスタイルは間違いなく今大会でもトップレベルに位置するもので、彼らもまた、拍手を送られるにふさわしいものを見せてくれた。

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EURO2008 Semi-finals:Germany 3-2 Turkey

 ビッグトーナメントの準決勝とは思えないほど双方とも集中を欠いたプレーが多く、運動量も少なかった。確かにトルコには酌むべき事情があり、本職ではないポジションの選手がいたり、コンビネーションもままならない中ですべきことをしようとはしていたのだろう。ただ、このゲームに限らず個人技に頼ることの多い古典的なスタイルはフットボールとして質が高いとは言えず、コレクティヴィティの欠如が大量の出場停止を出す、という事態を招いた面はある。そう考えればここまで来れたことに満足すべきかもしれない。この日も見せたように土壇場で驚異的な力を発揮できるメンタリティーは賞賛に値した。
 ドイツは何をするでもなく、ピッチをさまよっているうちに相手のGKがミスを犯し、マーカーが転んで負傷している間に点が入った。ラッキーだったとしか表現しようがあるまい。ここまでの内容を見ても、ポルトガル戦以外は決勝進出に値するプレーはしていない。組み合わせに恵まれたことに感謝すべきだ。

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EURO2008 Quarter-finals:Spain 0-0 Italy

 誰しもが予想した内容になったが、スペインは横パスひとつでも焦ることなく確実につなぎ、相手が待望してやまなかった中盤でのミスを犯さなかったことでカウンターの機会を与えない。特にマルコス・セナはプレッシャーがなかったせいもあるが、ルーズボールを支配した上ほぼ完璧につなぎをこなし、チームのリズムをつくった。最終ラインの集中も高く、サイドバックが上がってきた時に中盤の選手が戻りきれずにクロスを上げられた場面も、体をきっちり寄せて決定的なシュートは許さなかった。攻撃でも最後まで相手の分厚い守備を恐れることなく縦に入れており、サポートもあったので崩せそうな形はつくれていた。相手にその気があったかはともかく、前に出て来る抑止力になっていたことは確かだろう。
 次はロシアとの再戦。初戦のようにすべてうまくいくことはあるまいが、この試合ぐらい集中できていれば問題ないはず。どちらもプレーすることを志向しているだけに、質の高いフットボールが観られそうだ。
 イタリアは引きこもるだけで何もしようとせず、軽い接触でもわざとらしく転げ回って試合を何度も切るなど(レフェリーにも問題はあったが)、ゲームの質を貶め続けた罰を最後に受けた。これが彼らの方法論だ、と言ってしまえばそれまでだが、2年前と比べても明らかに時代錯誤のスタイルに逆戻りしたとあっては、ここまで来たこと自体が幸運だったと言うしかない。大会を通して、勝者たる所以を見せたことは一度たりともなかった。

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EURO2008 Quarter-finals:Russia 3-1 Netherlands

 85分までは、ロシアのゲームだった。そして、87分からもロシアのゲームだった。攻から守への素早い切り替えでビルドアップを妨げ、ボールを奪っては鋭いカウンターを繰り出す。深い位置で取れば丁寧なビルドアップからのサイドアタックあり、手数をかけずに2トップに預けて時間をつくる間に後方から走り込んでの厚い攻めもあり、と実に多彩だった。特にアルシャーヴィンとパヴリュチェンコのテクニック、スピード、モビリティは特筆すべきもので、引いて良し、張って良し、コンビネーションも抜群、と彼らだけでも再三決定機を生み出していた。アルシャーヴィンに至っては時間を追うごとに運動量が増したように見えるほどで、相手の守備陣を最後まで翻弄し続けた。彼に限らず全体の運動量も大きく落ちることはなく、中2日とは思えないほど。最終ラインの集中も最後まで切れなかった。何度かあった、斜め前方からのFKにラインコントロールが乱れる点を突かれて失点していなければ、パーフェクトな内容だった。
 逆にオランダは休養十分なはずなのに動きが悪く、トップに入れてもサポートがないためファン・ニステルローイが孤立し、攻撃の形がつくれない。90分が迫ると我を失ったかのように無理なミドルシュートを虚空に打ち上げるばかりで、若さが悪い方向に出てしまっていた。それでも終了間際にセットプレーで追いついたあたりは勢いを感じさせたが、失ったボールを追いかけるばかりで走らされ続けた彼らに、それ以上を望む体力は残っていなかった。延長に入ると中盤を含めた守備陣の足が完全に止まり、失点するのは時間の問題だった。
 ポルトガルやクロアチアにも言えることだが、フィジカル面では明らかに有利なコンディションで臨んだはずなのにその部分で劣るということは、3戦目でターンオーバーを用いたことが何かしらの心の隙を生じさせていたのかもしれない。さもなくば相手側がグループステージの最後で突破を決めた、という事実が不利を覆すだけのモメンタムを生み出したのか。「常識」が容易に通用しない―。これもフットボールの奥深さなのだろう。

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