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2007シーズン総括(三浦俊也監督編)

 そう容易とは思えない戦術を、そう覚えがいいとは思えない選手たちに瞬く間に浸透させ、しかも厚いとはいえない戦力の中で相手によってメンバーや戦い方にさまざまな調整を加えながら、これだけの成績を残したのだ。当然、最高級の評価をすべきだ。さらに、全員に同じ方向を向かせて、それを48試合続けたマネージメント力も特筆に価する。
 選手起用に関しても、出てくる選手にはそれだけの理由があり、出られない理由はサテライトなどを見ても明確だった。これなら誰もが理解することができただろう。また、レギュラーでも不思議ではない砂川や石井が腐らずに役割を全うした辺りは、精神面のケアも十全だったことがうかがえる。
 レギュラーや外国人選手を偏重しているようにも見えたが、それはその時点で他に人がいなかったためであり、終盤に西谷、藤田が故障したときに抜擢した岡本、西が活躍したことを見ても、きちんと戦力の状況を把握していたことは間違いない。交代策も大半が理に適ったもので、そのひとつひとつに「ギアを上げる」「取りに行く」などのメッセージが込められていた。意図が明確なら選手が動きやすいのは理の当然で、それによって流れをつかんだり、勝ち点を拾った試合は数多かった。
 問題があったとすれば、9月あたりのチームが負のスパイラルに入ってしまった時期に(外形的には)何もできなかったこと。先発組への信頼、戦力不足等の理由はあったのだろうが、あそこまで壊れてしまった状態なら何らかの刺激を与える必要はあったはずで、そこで動かなかったことは、今後より多く訪れる可能性がある同様の時期への不安を抱かせた。
 それでも、このチームが久々に(初めてかもしれない)迎えたピッチの内でも外でも仕事ができる監督であることに疑いの余地はない。札幌のような財力がないクラブにとって、高いステージにおけるその手腕はさらに重要なものになる。さらにソリッドで、タフなチームをつくり上げてくれることを期待したい。

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2007シーズン総括(チーム編)

 今季の彼らは、「チーム」だった。全員が同じ方向を向き、一人が皆のために戦い、皆が一人のために戦う-。この岡田武史氏言うところの「戦術よりも何よりも、まず必要なもの」がしっかり根付き、結果が出ることによってそれがさらに強固になったことが、負傷者や出場停止が出ても大崩れすることなく戦い抜けたことの精神的なベースになった。
 戦術が明確になったことも成功の大きな要因だ。前線から始まる連動した守備が徹底され、相手のビルドアップを人を均等に配置してスペースを消すことで無力化するさまは見事としか言いようのないもので、蹴るしかなくなったボールは最終ラインが難なくはね返した。さらにフッキ、パウリーニョといったこのレベルで傑出した選手に対しては常に数的優位をつくることで対応し、数多くの仕事は許さなかった。個人能力頼みのチームがJ2でも増えてきた中、相手の「武器」を沈黙させるゲームが多ければ、いい結果が出たのも必然であろう。
 また、慎重に入ってある時間帯からペースアップするなど、ゲームの流れを踏まえてのギアチェンジが多く見られたのも特徴的だった。一本調子でジリ貧になる傾向の強い日本のチームでは珍しいことで、対応できない相手も数多くあった。ベンチの指示ではなく、選手たちが判断してこれをできるようになれば、チームとしてよりステップアップできるだろう。
 一方、攻撃では戦略性や意図はほとんど感じられなかった。どうしても守備で「待つ」ことが多くなり、攻めの距離が長くなる。さらにリスクを避ける気持ちが強いため、前に蹴るだけになる場面が大半だった。その精度も低かったし、守備陣形の都合上攻撃的な選手をサイドに配置しており、センターハーフは守備意識が強い(強過ぎる)ため、どうしてもサポートが遅れる。結果、トップの能力、技術的に確率が高いとはいえない独力突破に頼ることになり、多少は突破が期待できるサイドに出ても、そこ自体が薄い上に肝心の真ん中の枚数が足りない。全体に消極性が際立ち、オン・ザ・ボールでの可能性を感じさせる崩しは極端に少なかった。カウンターと言えば聞こえはいいが、そう称することもはばかられるような場面ばかりで、J2レベルだから通用した部分も多かった。
 それ故のセットプレー重視でもあったのだろうが、来季からはセットプレーを取ること自体ままならなくなることも考えられる。ラインを高く保ってショートカウンターを狙う時間帯を増やす、積極的に追い越す、前線以外の守から攻への切り替えを早くする、など、ここ数年の蓄積も生かしながら攻めのヴァリエーションを増やして相手を崩すことも考えていかなくてはならない。リスクを忌み嫌うばかりでは何も始まらない。リスクを冒す中でマネジメントをできるようなチームづくりが必要になるだろう。
 新シーズンに向けては、センターラインの補強が求められるし、戦術の微調整もあるかもしれない。それでもベースになる戦術、選手は変わらないはずだ。今季は最高の結果を残したとはいえ、課題も数多く生まれた。その克服なくして躍進はあり得ない。チームにかかわる者すべてが、開幕までの時間を無駄にすることがないように願いたい。

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2007J2#52 札幌2-1水戸@札幌ドーム

 立ち上がりから全般に動きが硬く、セカンドボールは拾えない、攻めもロングボール一辺倒で、しかも早々に先制される。昨年までのチームがこの状況に置かれたなら、意味もなく慌てふためいて、前がかりになって失点を重ねていただろう。
 この日は違った。良きにつけ悪しきにつけペースを変えることなく、頃合いを見てチョン・ヨンデあたりが最終ラインからボールを引き出してリズムを変えるような働きをするようになり、流れが傾きだした矢先に同点。特にゲームを動かす必要もなくなった後半はリスクを冒さないことが第一の目的になり、その中でワンチャンスを生かした。クオリティが高いとは言い難いが、変なミスが出ることもなく狙い通りゲームをコントロールできていた。若いチームが経験のある選手の力も借りながら成長してきた、今季を象徴するようなゲームだった。
 終盤戦での、結果のみを求められるところで結果を出す、という体験は、選手たちにとって大きな財産になったはずだ。それをぶつける場はひとつ上のカテゴリー。このままでいい、と思っている者は誰もいないだろう。この1シーズンで築いてきたものを食いつぶさないためには、全てにおいてレベルアップを果たしていかなければならない。

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